著者
駒木 伸比古
出版者
公益社団法人 日本地理学会
巻号頁・発行日
pp.000073, 2018 (Released:2018-06-27)

1. 研究の背景と目的本シンポジウムの趣旨は「不動産の利活用から地方都市再生を考える」であるが,地方都市再生において中心市街地活性化は重要テーマのひとつに位置づけられる。中心市街地活性化法は1998年の制定から2006年,2014年の二度の改正を経て現在も続けられており,自治体は各種事業などを展開している。ここで,法律に基づき基本計画を策定する際に各自治体によって定められる中心市街地の「位置および区域」について注目したい。中心市街地活性化法における中心市街地は,「都市全体の維持に必要な商業・サービス業をはじめとする都市機能が集積する原則として単一の中心核」のように要約される。こうした中心市街地の社会・経済状況や政策・事業の実施状況については,地理学に限らず都市計画などの隣接分野でも研究がなされてきたが,目標指標の特徴と到達状況を検討した伊藤・海道(2012)は,共通の指標で判断することが難しく,「地域特性をふまえた説明力のある指標」が必要であることを指摘している。そこで本発表では,中心市街地活性化基本計画認定都市における中心市街地(基本計画区域)における都市・商業機能の集積状況を,統計結果および施設立地状況から明らかにする。2. 分析方法本発表では,2017年12月現在,中心市街地活性化基本計画によって設定されている141都市144基本計画区域を研究対象とした。自治体区域全体に占める中心市街地活性化区域における都市・商業機能の集積状況について検討する。商業機能については,商業統計に基づく事業所数,従業者数,年間販売額,売場面積,そして大型店の立地とする。都市機能については,公共施設,医療機関,福祉施設,文化施設,バス停,鉄道駅とした。これらのデータについて,認定自治体全域および中心市街地における立地状況についてGISを用いて計測し,その集積状況について算出した。また,これらの結果を用いて,類型化を行った。3. 分析結果平成14年および平成26年の商業統計メッシュ統計結果を用いて,区域における小売業の事業所数,従業者数,年間販売額,売場面積について推計するとともに,自治体全体に占める中心市街地の割合について算出した。その結果のうち,年間販売額に関して,その変化率と集積率の推移との関係をしめしたものが図1である。r=0.61と両者の間には中程度の正の相関がみられ,中心市街地における小売業が活発になるほど,集積も高まる傾向にあることが明らかとなった。ただし,正の値を示す中心市街地は144区域中3区域(2.1%)に過ぎない。一方,年間販売額は減少しているものの集積率が高まっている中心市街地が6区域あり,これらの自治体については,「集積」という観点からは成功しているとみることができる。発表当日は,そのほかの都市・商業機能の集積状況の結果を提示するとともに,いくつかのタイプに分けて考察した結果について報告する。

言及状況

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日本地理学会2018年春季学術大会(東京学芸大学)でのシンポジウムの要旨がJ-stageにアップされていました。自分の発表分です。 駒木伸比古「中心市街地における都市・商業機能の集積状況」 https://t.co/5Xrvh1QaTv

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