著者
牛山 素行
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.44, 2020 (Released:2020-03-30)

台風2019年19号および10月25日の発達した低気圧による大雨(以下「台風19号等」)による死者・行方不明者101人を対象に,筆者が整理している最近約20年間の風水害(以下「1999-2018」)による死者・行方不明者(「犠牲者」)1259人の発生状況と比較し,主にその発生場所に関する特徴を速報する.「洪水」(河川からあふれた水に起因する犠牲者),「河川」(増水した河川等に接近して転落など)犠牲者で,発生位置が推定できた者について,国土交通省「重ねるハザードマップ」を元にその場所が浸水想定区域(計画規模)または浸水想定区域(想定最大)の「範囲内」か検討すると,1999-2018(集計対象270人)では「範囲内」または「範囲近傍」(図上で30m以内)が4割程度だが,台風19号等(同68人)では7割程度だった.「重ねるハザードマップ」に示された「地形分類(自然地形)」,「土地分類調査」等により地形分類との関係を見ると,1999-2018,台風19号等ともに犠牲者のほぼ全員が「低地」で発生した.中小河川では浸水想定区域の指定が進んでおらず「範囲外」となりやすいが,地形分類図を用いれば補完が可能と示唆された.しかし,地形分類図は複数の作成体系があり,地域により凡例も異なるなど,広く一般に利用は薦められないのも現状であり,さらなる工夫が必要だろう.

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