著者
小嶋 知幸
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.177-184, 2001 (Released:2006-04-25)
参考文献数
2

19世紀末から今日に至るまで,古典論を代表とする失語学では,失語症は症状の組み合わせ,すなわち「症候群」という観点で分類・整理されてきた。古典分類の中に位置する代表的な失語タイプの1つであるウェルニッケ失語も例外ではない。本論では,はじめに (1) 「症状」と「障害」は同義ではなく,「症状」の背景にあって「症状」を発現させている原因が「障害」であること, (2) 障害のメカニズムを推定することなしに失語症への「対策」の立案はありえないことを述べた。続いて,これまで「症候群」の考え方の中で論じられてきたウェルニッケ失語を,「障害メカニズム」の立場から定義し直した。そして,定義をほぼすべて満たす典型的な症例1例の,約6年間の訓練経過を報告し,ウェルニッケ失語が長期にわたって機能回復を続けることを明らかにした。最後に,失語症者が安心して長期間集中的かつ適切な訓練を受けられる体制作りの必要性や,臨床上見逃してはならない失語症者の精神・心理的問題とその対策の重要性についても言及した。

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