著者
川島 真
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.51-61, 2018-12-31 (Released:2020-02-01)

本稿は、公文書とアカウンタビリティについて、三つの論点を取り上げ、時間軸から考察した。第一に、公文書の作成・保存・公開というサイクルにおいて、特に作成段階での議論が十分でなく、作成者、つまり官僚の目線で議論しなければ、今後、合法的に公文書が多く残されないのではないかとの懸念を示した。第二に、外交文書には将来へのアカウンタビリティだけでなく、国家の構成員以外へのパブリック・ディプロマシーとしての要素があると指摘した。だからこそ、外交史料館には公文書館とは異なる機能があると言える。第三に、昨今東アジアでも採用されている移行期正義では公文書が事実認定上の重要な根拠とされるが、そこではかつての私文書が公文書とされるなど、文書の公私が時間軸で変化する可能性があることを示した。

言及状況

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先ほどシェアした、川島(2018)「時間軸から見る公文書とアカウンタビリティ」でも、論者の依拠する職業的立場・目線によって、見込まれる文書作成・保存・公開のサイクルとタイミングに関する要求の相違、又、文書の公私が時間軸に応じて変化する点を冒頭で指摘しています。 https://t.co/5GJ2Emeqdi
理論的検討について、↑と同時に公開されたもの。 ①古賀崇「政府・自治体の情報公開とアカウンタビリティ―『遡及的検証』の実現のために(https://t.co/1AbKb6RKm3)」 ②川島真「時間軸から見る公文書とアカウンタビリティ―公文書作成現場、外交文書の意義、移行期正義(https://t.co/5GJ2Emeqdi)」

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