著者
岡田 稔 水野 慎士 鳥脇 純一郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.74-84, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
37
被引用文献数
1 2

本論文では,仮想彫刻に基づく仮想木版画の生成法と応用について解説する.提案法は芸術•工芸の模擬を目指した非写実的画像合成法(NPR) のひとつである.一般に絵画などを志向したNPR で用いられている技法は,(a) ABR: 生成外観を模擬したレンダリング手法,(b) PBR: 物理モデルに基づくレンダリング手法,に大別されるが,本論文で解説する仮想木版画は(b) PBR に基づくものである.まず仮想彫刻システムによって仮想版木が生成される.次いで仮想版木,仮想紙,仮想馬連,仮想絵の具により,仮想木版画画像が生成される.このように提案法は木版画の制作工程を重視したものであるため,生成画像は物理的な裏付けを持ち,外観上も良い結果を与えている.また,仮想木版画手法を用いた仮想浮世絵の知的符号化,及びそれを通した仮想彫刻と仮想木版画の問題点と今後の課題についても言及する.

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