著者
平野 剛 那須 大毅 小幡 哲史 木下 博
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.27-36, 2014 (Released:2017-02-15)
参考文献数
13

ホルン演奏時の表情筋の制御様式と熟達度によるその違いを調べるために2つの実験を行った. 第1実験では熟達奏者にさまざまな音を演奏させ, 音が鳴る直前と音が鳴っているときの表情筋の活動と唇周りの皮膚表面の動きを計測した. その結果, 音が鳴る直前の活動強度と音が鳴っているときの活動強度の間に差はみられなかった. また計測されたほとんどの筋で演奏する音量が大きいほど, また演奏する音の高さが高いほど筋活動量は高くなった. 一方で口唇周りの皮膚表面の動きは, 演奏する音量, 音の高さにかかわらず一定だった. この結果から, 熟達ホルン奏者は意図した音に応じて, 音が鳴る直前から広範囲の表情筋の活動を共同的に制御し, 振動する唇の張力や質量を変化させていることが示唆された. 第2実験では熟達奏者と未熟達奏者の2群に分けて, 表情筋の活動の違いを検討した. その結果, 連続しない1つの音を演奏する課題では活動量に違いはみられないが, 異なる音の高さを連続して演奏する課題では, 上唇に付着する筋に活動量の違いが見られた. 上唇に付着する筋の活動は, 複雑な演奏を行うときに重要な役割を果たし, その制御には長期的な訓練を要することが示唆された.

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@10767 演奏時の表情筋の活動量については、こちらの論文でも研究されていますので、ご参考までに。 https://t.co/MjMNuK86GR

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