著者
百鬼 史訓 横山 直也 有田 祐二 久保 哲也 山神 眞一
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.1-11, 2005-03-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
16

本研究は,剣道において面や突きなどを打突された際に,剣道具(面)をとおして人体の頭部に伝達される衝撃力について,バイオメカニクス的観点から明らかにするために,打撃用ダミー人形や被験者への実戦的な打突が頭部へ及ぼす力学量(加速度)を計測し,頭部の安全性についてJARIの人体頭部耐性曲線を元に検討することを目的とした。得られた結果をまとめると以下の通りである。1.一足一刀の間合からの面打撃は,加速度レベルが低いため,加速度による傷害発生の可能性が3種類(MA:その場から,MB:送り足で,MC:一足一刀の間合から)の打ち込み条件の中では最も低かった。2.頭部への一回の打撃により頭蓋骨々折・脳震盪といった傷害が生じるレベルには達していない。しかし,慢性硬膜下血腫の発症との関連も心配されることから,連続的な衝撃や長年にわたる衝撃の影響について,今後検討する必要があると考える。3.突き動作では加速度レベルが低いため,加速度による頭部の傷害発生の可能性は低いと考えられる。

言及状況

外部データベース (DOI)

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Influence of Datotsu in Kendo on the Human Head : Impact Estimation Using Simulation with Crash Dummy https://t.co/GwwXgJsf5I 2005年の論文。剣道での面に対する打突は、一撃で頭蓋骨骨折や脳震盪を起こすものではないが、継続的な打撃によって慢性硬膜下血腫が引き起こされる可能性がある。

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