著者
金井 靖 諸住 なおみ 米本 儀之 杉田 修 大沼 規男 安達 栄樹 菊地 康博
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.254-268, 1994-04-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
10

新規経口ペネム薬SY5555のラットおよびイヌにおける体内動態を14C標識体を用いて検討した。1.[14C] SY5555経口投与後の吸収は速やかで, 血漿中放射能濃度はラットでO.5時間, イヌで1.0時間に最高濃度に達した。放射能の尿中排泄率から求めた吸収率はラットで21.8%, イヌで51.6%であった。2.[14C] SY5555静脈内投与後, ほとんどの放射能は尿へ排泄され, 胆汁への排泄はわずかであり, 尿への排泄が主排泄経路であった。経口投与ではラットで17.1%が, イヌで47.0%か尿中に排泄され, 糞中にはそれぞれ85.8%, 52.9%が回収された。3.[14C] SY5555の組織への移行は速やかで, 組織内放射能濃度はほぼ血漿と同様に推移した。ラットおよびイヌともに組織内濃度は腎が最も高く血漿の約3倍の濃度が認められ, その他の組織にも広く分布した。4.血漿および尿中の主代謝物は, β-ラクタム環およびテトラヒドロフラン環か開環したM-1, M-2であった。M-1およびM-2の血漿中濃度はラットで高く, イヌで低かったが, 尿中排泄率には著しい差は認められなかった。これら代謝物は腎ならびに肺に存在するdehydropeptidase-1 (DHP-1) により生成するものと推定された。5.ラットにおけるSY5555のin vivo血漿蛋白結合率は82.8~83.9%であったが, 蛋白との結合は可逆的であった。代謝物の蛋白結合率はM-1で4.3~7.9%, M-2で69.0~76.2%であった。SY5555は血球にほとんど移行しなかった。

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