著者
宇根 義己
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.127-141, 2018-10-28 (Released:2019-09-28)
参考文献数
20

本研究は,インド繊維・アパレル産業の空間構造を,産業構造の特性,主要産地の発展過程と企業の取引関係および労働者の供給圏から明らかにした。主要工程の空間的特徴を分析したところ,紡績工程はタミル・ナードゥ州が群を抜いて高い拠点性を有していること,織布工程はマハーラーシュトラ州,タミル・ナードゥ州,グジャラート州が中心であり,州内には複数の織布産地が形成されていること,縫製(アパレル)工程は比較的分散傾向を示すことがそれぞれ確認された。紡績産地であるコインバトールと織布産地であるスーラトの事例から,産地間および企業間の取引においては,仲介業者や卸売業者が発注者と受注者を結びつけ,これらが工程間および産地間の取引を媒介し,斯業の地域間工程間分業を可能としていることが明らかになった。労働者の供給圏については,2000年代以降に南インドにおいて北・東インドからの移動労働者を大量に受け入れていることが確認され,斯業における現業労働力は全国的に北・東インドの移動労働者に依存する構造となっている。

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