著者
松下 年光
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.327-345, 2020 (Released:2021-04-06)
参考文献数
9

江戸時代後期に活躍した真言僧の慈雲(一七一八~一八〇四)は悉曇学を大成し、又戒律の復興を目指し、釈迦在世当時の正法律を唱導、更に空海が唐より伝えた十善戒を戒体として道俗問わず、人となる道を説くなど、教学に努めた学匠であり、神道もその一環であった。彼は、特に晩年70代近くになり記紀などの神道研究に専念するようになった。 空海(七七四~八三五)が入唐時に、恵果阿闍梨から直伝された能作性(如意)宝珠は承和元年(八三四)の真言院での「後七日御修法」による鎮護国家祈願、玉体安穏、五穀豊穣の祈願法会を初めとして、如意宝珠による修法は広まっていったが、又、空海は嵯峨天皇より、入唐後に、伊勢神宮にて「十種神宝図」を写し、特にこの神宝の中で生玉は能作性宝珠とするように勅令を受けた。 本稿では、雲伝神道の伝授の「十種神宝図」を基に、慈雲の聞書他の著作からその慈雲の日本神話の神々と道教、易経、儒教、陰陽五行説等を融合した両部曼荼羅的解釈を検証し、慈雲の晩年における如意宝珠観を考察したい。

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慈雲尊者の如意宝珠観―「十種神宝」を中心として(智山学報)https://t.co/O04ThyHVq6 もし痛む所あれば、この十種の宝をふるわせなさい。そうすれば死せる者も生き返るであろうと 死んだ様に冷たくなって冬眠しているヤマネが覚醒する様が疑死再生のイメージにしか思えない https://t.co/VeKJAdpimE
慈雲尊者の如意宝珠観―「十種神宝」を中心として(智山学報)https://t.co/O04ThyHVq6 天皇と皇后の為に奉り、御魂鎮めの祭りをおこなって、長寿と幸福を祈った… これをもって鎮めと為し、毎年仲月(しもつき)の中の寅の日に…永続的に鎮祭をおこなえと。いわゆる御鎮祭とはこれのことである… https://t.co/1fI0cdhJiF
慈雲尊者の如意宝珠観―「十種神宝」を中心として(智山学報)https://t.co/O04ThyHVq6 天皇皇后の病気治療、延命つまり病により死にかかった霊魂・命を蘇らせる呪術に使われていた… 空海が恵果阿闍梨より伝授された能作性如意宝珠を…生玉に用いることにより…身分階級の差別なく万人の利他行に導き… https://t.co/aPnUXkeZhr

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