著者
藤 和彦
出版者
日本リアルオプション学会
雑誌
リアルオプションと戦略 (ISSN:21896585)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.36-38, 2018 (Released:2019-03-31)

日本は5年後から「多死社会(約50年連続で年間150万人以上が死ぬ)」に突入する。家族のシェルター機能が弱まる状況下で、介護・看取り・葬送のネットワークは「血縁」から「結縁」に変わっていかざるを得ない。また団塊世代(生産性重視の思考が強く死生観が希薄)を中心に「積極的安楽死」を求める声が高まることも予想される。このように隠蔽されてきた「死」が社会に回帰することになれば、世の中の価値は「生産性」一辺倒から「関係性」などを含めた多様なものに変化していくのではないだろうか。 一方多死化とともに進展するAI化により、「死」の価値が高まる可能性がある。寿命知らずのAIは人間的な深い共感を理解できないからである。汎用AI時代が到来すれば、AIが真似できない「死の意識に裏打ちされた美意識」が人間の強みになるのではないか(知識社会から美意識社会へ)。 多死社会がもたらす価値観の転換や「関係性」の組み替えを促進するため、仮想通貨の戦略的活用が有益であることも指摘したい。

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