- 著者
-
窪田 ひろみ
- 出版者
- 日本リアルオプション学会
- 雑誌
- リアルオプションと戦略 (ISSN:21896585)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.13-16, 2015 (Released:2019-01-31)
- 参考文献数
- 8
地熱発電は,設備利用率が高く(約80%),
ベース電源としての役割を担う。地熱発電
用タービンの世界シェアは約70%と,国内
企業の技術力は高い。また,発電だけでな
く熱水のカスケード利用(農水産業,暖房,
融雪,乾燥等)による省エネ・地元産業活
性化・観光資源としての貢献,非常用電源
としての有効活用等が期待されている。
しかしながら,現状では,地熱発電の設
備容量は約52 万kW,電源構成に占める割
合は僅か約0.3%である。地熱資源の約8 割
が国立・国定公園内に存在するとされ,自
然環境保護の観点や,建設コストが高い等
の理由から開発困難な地域も多い。地熱発
電の固定価格買取制度(FIT)認定設備容量
は14,725kW(2014.10 時点)であり,太陽
光や風力に比べて極めて少ない状況にある。
そこで本稿では,再生可能エネルギーの
中でも質の高い電気を供給できる地熱発電
について,開発に伴う様々なリスク(不確
実性)とその対策の現状と課題を紹介する