著者
大友 篤 遠藤 雅之 小野寺 真哉 坂上 尚穂 伊達 久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
巻号頁・発行日
pp.0196, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】複合性局所疼痛症候群(以下CRPS)は,アロディニア・痛覚過敏・浮腫・異常発汗・運動障害・萎縮性変化などの症状があり,理学療法の施行を困難なものとする。今回,CRPS TypeIに対して,各神経ブロックと理学療法を併用により,痛みが軽減し,身体機能が改善を呈した2症例を報告する。【方法】症例1:19歳女性,平成X年10月専門学校の体育祭で左膝を捻り受傷。その後痛み継続,他院で精査,治療するも増悪,平成X+1年8月に当院入院。主訴左下肢(左膝関節内側中心)の痛み。安静時痛あり。動作時増悪。左下肢知覚障害,アロディニアあり。左下腿浮腫あり。膝関節制限あり,左下肢荷重不可,両松葉使用していた。症例2:28歳女性,平成X年4月に右前十字靱帯,内側側副靱帯損傷。MRI所見では靭帯損傷は軽度。他院で筋力強化を目的とした理学療法を行ったが,痛みで運動が困難であった。症状悪化したためX年8月当院受診。可動域制限なし,右膝関節内側・膝中央に,安静時・アロディニア・荷重時・膝屈伸時に疼痛出現。大腿四頭筋・ハムストリングス筋力低下あり,独歩可能だが,仕事の継続が困難であった。【結果】症例1:入院初日持続硬膜外ブロック施行及び理学療法開始。理学療法は週2回行い,他の日は自主トレーニングとした。7日目左膝関節可動域改善,左下肢部分荷重。14日目左下肢全荷重可能,歩行時両松葉杖使用。17日目持続硬膜外ブロック終了。24日目安静時痛・運動時痛なし,膝内側の圧痛あり階段昇降時痛みあるが,可動域改善・筋力向上・独歩可能にて退院に至った。症例2:平成X年8月22日~平成X+1年8月5日の約12ヶ月の間に,週に1~2回程度,腰部硬膜外ブロックの前後に理学療法を行った。平成X年8月22日,腰部硬膜外ブロックと理学療法を併用した治療開始。平成X+1年4月には痛みが軽減し,持続歩行が可能となる。同年6月から介護職ではないが,社会福祉士の資格を生かした相談役として職場復帰に至った。【結論】CRPSの運動障害としては,患肢を自分の一部と感じない,患肢を動かす為に視覚的に注意を向けないと運動できないといった認知機能異常や,心理学的要因などの症状もあり,様々な要因が混合しあい,痛みを複雑なものとしている。そのため,身体機能の低下を招き,日常生活の制限をきたす。理学療法を施行する際,痛覚過敏・アロディニアまた,心理的要因が関与し,治療に対して受動的になり,理学療法を困難にしている。各神経ブロック併用により,理学療法を促進するなどの,互いの相乗効果により,痛みの軽減が図れたと考える。また,理学療法を施行する上では,CRPS患者は痛みに対する訴えが強く心理的側面の影響も強いため,理学療法を施行する際は,痛みだけでなくすべての訴えに耳をかたむけていく姿勢が必要になると考える。

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