著者
中川 秀己 五十嵐 敦之 江藤 隆史 小澤 明 根本 治
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.115, no.10, pp.1449-1459, 2005-09-20 (Released:2014-12-10)
被引用文献数
1

乾癬治療の質的向上を図ることを目的として,前回の調査よりも参加施設を拡大し,乾癬患者の症状および改善度,ストレス,満足度など多面的な項目からなるアンケート調査を医師,患者両方に実施し,685例の回答を得た.現在の治療満足度について「とても満足している」と回答した患者は9.8%,治療効果とストレス改善効果を総合的に判断した総合満足度に「とても満足」,「満足」と回答した患者は19.0%と,前回の調査同様,本邦における乾癬患者の満足度は低いことが確認された.また,ストレスを感じている患者の割合は67.4%であり,原因として「患部を見られること」,「外用薬による治療」があることも明らかにされた.総合満足度へ影響を及ぼす因子では「患者による症状の改善評価」(寄与率52%)が最も高く,患者の視点から症状改善を把握することの重要性が明らかにされた.そして,患者と医師の改善度評価にはギャップが存在することが示唆された.これらの知見から,乾癬治療の質を向上させるためには,患者が皮膚症状の改善度をどのように感じているのか,皮膚症状や外用薬治療が日常生活に支障を来していないか,などを患者に尋ねることで患者の治療満足度を把握し,それに対応した治療を行うことで患者満足度の高い,患者の視点に立った治療が実現できると考えられた.

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