著者
佐藤 貴宣
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.27-46, 2013-11-30 (Released:2015-03-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本稿は,教師たちが盲学校のリアリティを,普通学校とは別の独得の秩序をもつ現実として構成していくその仕方を解明するとともに,そうしたリアリティ構成のあり方が,どのような形で生徒たちの進路形成・進路分化を規定しうるのかを,エスノメソドロジーの成員カテゴリー化論に依拠して考察することを目的とする。 この間,精力的に成員性カテゴリー化分析(MCA)を推進してきたエグリンとヘスターはリフェラル・ミーティングにおける参加者のカテゴリー使用を考察することにより,成員カテゴリーや成員カテゴリー化装置(MCD),その述部の意味はインデクシカルな表現から成り立ち,カテゴリー化とその文脈とは相互に精緻化し合うと主張してきた。本稿もヘスターらのアイディアを援用し,盲学校という場のリアリティを構成する教師たちの言語行為を記述していく。それはすなわち,盲学校に固有のリアリティが状況定義と生徒のカテゴリー化との相互規定性として達成されていくプロセスの解明に他ならない。そのようにして達成されていく盲学校のリアリティは,[盲学校教師]カテゴリーに対して特定の述部的行為を道徳的に帰属する。その結果,盲学校内部の職業課程を経由する職業移行が,視覚障害を有する生徒にとっての,最も妥当な進路として合理化されていくのである。

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【情報収集】佐藤貴宣「盲学校における日常性の産出と進路配分の画一性──教師たちのリアリティワークにおける述部付与/帰属活動を中心に」 https://t.co/p5JqpcBy6j

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