- 著者
-
矢野 雅貴
坂本 勉
- 出版者
- The Linguistic Society of Japan
- 雑誌
- 言語研究 (ISSN:00243914)
- 巻号頁・発行日
- vol.149, pp.43-59, 2016-03-25 (Released:2016-06-22)
- 参考文献数
- 45
本研究は,事象関連電位を指標として,形態統語的処理と意味的処理がどのように相互作用しているのかを検討した。実験の結果,格違反文(値段をあがる)に対して左前頭部陰性波とP600が観察された。また,格違反は含まないが意味役割が逆転した文(値段があげる)において,同様の左前頭部陰性波とP600が観察された。もしこの左前頭部陰性波が形態統語的な違反効果を反映しているとすれば,この結果は,形態統語的処理と意味的処理が,動詞の呈示開始語400 ms辺りで相互作用していることを示唆している。