著者
新永 悠人
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.157, pp.71-112, 2020 (Released:2020-12-10)
参考文献数
84

本稿では湯湾方言(琉球諸語の1つである奄美語に属する)の複数形が持つ諸機能に注目し,それを世界の諸言語の複数形が持つ「特殊な機能」(Corbett 2000: 234)と比較・考察した。湯湾方言の複数標識は,簡単に言えば,日本語標準語の「たち」だけではなく,「など」に相当する機能も持っている。このような現象を通言語的な視点から整理するために,本稿では「意味地図」(semantic map)という方法論を用いた。その際,単数,双数,複数などのような「数の区分の意味」(number values)と,累加,連合,などの「数の区分以外の意味」(non-number values)を分けて捉えることによって,諸言語の複数形が持つ「特殊な機能」が意味地図上で比較考察できるようにした。その結果,従来の研究では区別されていなかった「集合的例示」と「選言的例示」の区別,および複数形が実質的に1人の対象を指す用法のうち,いわゆる「尊敬複数」(polite plural)とは異なる「否定的・単独的例示」の通言語的な価値を明らかにした。

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【言語研究・掲載論文】北琉球奄美大島湯湾方言の名詞・代名詞複数形の機能とその通言語的な位置づけ (新永悠人) 157号 https://t.co/f8rgmjDOMB
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