- 著者
-
西垣内 泰介
- 出版者
- The Linguistic Society of Japan
- 雑誌
- 言語研究 (ISSN:00243914)
- 巻号頁・発行日
- vol.2002, no.121, pp.49-105, 2002-03-25 (Released:2007-10-23)
- 参考文献数
- 21
本論文は日本語で「かきまぜ」を受けた名詞句がLFでの再構成reconstructionにより文中のさまざまな位置で解釈を受ける可能性があることを主張する.まず,移動を受けた名詞句はD構造位置だけでなくCPやvPの「端」(edge)で再構成を受けることを示す.この主張の基盤となるのは束縛とスコープに関わる事実である.次に,LFでの再構成は束縛理論の制約を受けることを示す.再構成はさまざまな位置で名詞句を解釈することを許すが,その可能性の範囲は束縛条件AとCによって狭められるのである.さらに,LF再構成は指示の非透明性を引き出す動詞など,スコープに関与する要素と相互関係を持つが,このような関係も束縛条件によって制約される.