著者
西垣内 泰介
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.150, pp.137-171, 2016 (Released:2016-11-17)
参考文献数
37
被引用文献数
2

この論文では,日本語の「指定文」および「カキ料理構文」と呼ばれている構文について,特定の構造を持つ名詞句を中核として,その構造と派生を示す。本論文の分析では「中核名詞句」は2つの項をとり,外項が主要部名詞の意味範囲を限定(delimit)し,内項がその意味内容を「過不足なく指定する」(exhaustively specify)という関係を持つ。「中核名詞句」の内項が焦点化されることで「指定文」が,その指定部を占める外項が主題化されることで「カキ料理構文」が派生される。焦点化された要素が変項を含む構成素の意味を「過不足なく指定する」という関係が「指定文」の根幹をなすものだが,これは疑問文とその答えの間に求められる関係に由来するものである。「中核名詞句」の内部での項のc統御関係が,対応する「指定文」に「連結性」によって反映され,「自分」の逆行束縛と見える現象などが説明されるる。「XをYに…する」という付帯状況を表す副詞節も「中核名詞句」から派生する分析を提案している。
著者
西垣内 泰介
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.121, pp.49-105, 2002-03-25 (Released:2007-10-23)
参考文献数
21

本論文は日本語で「かきまぜ」を受けた名詞句がLFでの再構成reconstructionにより文中のさまざまな位置で解釈を受ける可能性があることを主張する.まず,移動を受けた名詞句はD構造位置だけでなくCPやvPの「端」(edge)で再構成を受けることを示す.この主張の基盤となるのは束縛とスコープに関わる事実である.次に,LFでの再構成は束縛理論の制約を受けることを示す.再構成はさまざまな位置で名詞句を解釈することを許すが,その可能性の範囲は束縛条件AとCによって狭められるのである.さらに,LF再構成は指示の非透明性を引き出す動詞など,スコープに関与する要素と相互関係を持つが,このような関係も束縛条件によって制約される.
著者
西垣内 泰介
出版者
大阪大学
雑誌
大阪大学言語文化学 (ISSN:09181504)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.41-52, 1992
著者
西垣内 泰介
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-74, 2019-03-05

本論文は,「地図をたよりに(目的地にたどりつく)」のような,「付帯条件」を表すとされる付加表現について新しい提案をしている西垣内(2019, 『日本語文法』19(1)) の補遺である。そこで提案されている統語的分析の要点を示した上で統語分析の詳細なポイントを追加し(1–2 節),代名詞束縛,量化表現の相対スコープ,「量化詞分離」の現象に基づく「構造的連結性」の議論を提示し(3 節),「時」に関する解釈など,統語論分析だけでは捉えられない意味的な要因についての議論を行い(4 節),西垣内(2019) で主張している「X をY に」と「X をY にして」は構造的に違うものだという議論に,主に「時」の解釈に関連した議論を追加している(5 節)。また,西垣内(2019) の主張のポイントのひとつは三宅(2011) 以来この現象についての研究で共通認識となっている,この構文と「指定文」との間の平行性がいずれも「関数名詞句」から移動によって派生することから由来する二次的な現象に過ぎないということであるが,本論文では,そのような平行性が成り立たないことを示す複数のケースを提出する。
著者
西垣内 泰介
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.151-169, 2018-03-05

本論文ではSells (LI 18, 1987) のいわゆる「主観表現」に関わる分析に関連し、Nishigauchi (JEAL 23, 2014) による「視点投射」(POV-projections) を含む統語構造の観点からの分析を提示する。本論文の分析では下位の視点投射が上位の視点投射の位置へ主要部移動し、それによって下位の視点投射の「一致」領域が広がることによって捉えられる言語現象を示す。さらに、「理由」「原因」という従来「非飽和名詞」と呼ばれているものを含む構文の中で見られる「視点」現象を考察し、「理由」「原因」などを「関係を表す名詞」と考えることで、まったく次元の異なる分析の展望が開けることを示す。
著者
西垣内 泰介 郡司 隆男 松井 理直 松田 謙次郎
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、「焦点」とスコープに関わる言語現象を取り上げ,形式化の整った統語論・意味論・音韻論の方法で理論的に分析するとともに,音声実験や言語コーパス調査などによって理論的考察を実証することを目的とする。具体的には,主題文,(指定的)分裂文など,様々な構文にあらわれる,いわゆるWH(疑問)要素,量化表現,否定対極表現などスコープに関連する統語・意味的要素と,イントネーションなど「焦点」に関する多様な音韻的要因の間の相互関係を分析し,統語論・意味論と音韻論との密接な関係を明らかにする。また,理論的背景の下にデザインされた音声実験を用いて,その結果を文法的分析の中に組み込んでいく。関連する言語事象の方言などによる言語変異について考察する。
著者
西垣内 泰介 郡司 隆男 松井 理直 シュペルティ フィリップ 松田 謙次郎 EMONDS Joseph
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

レキシコンと文法の制約について、文法論、形態論、意味論、音声音韻の各分野で理論的研究を行い、国会議事録などの発話コーパスを用いて実証的な研究を行った。具合的には述語の語彙的特性と再帰表現の単文内での束縛関係といわゆる長距離束縛の関わり、…を示した。平成20 年度の最後にあたってレキシコン、文法の制約が同一指示の現象に関与する諸相についての国際ワークショップを行った。