著者
井尻 暁
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.126, no.1, pp.29-37, 2020-01-15 (Released:2020-04-22)
参考文献数
38
被引用文献数
1

泥火山は,高間隙水圧をもった堆積物が泥ダイアピルとして上昇し地表に噴出した小丘で世界各地の大陸縁辺域に分布している.近年の研究により,泥ダイアピル中の微生物が海底下の物質循環に貢献していること,泥火山の活動により地下深部の微生物が地表に運ばれていることが明らかになってきた.種子島沖の泥火山では海底下に存在するAtribacteriaがメタンと共に泥火山から海水中に放出・拡散されているのが発見され,海底泥火山が海洋と地下生命圏を繋ぐ地質学的な生命移動・拡散経路となっていることが確かめられている.熊野海盆の泥火山で行われた科学掘削により,流体の移動プロセスが微生物の代謝に深く関与していること,海底下の微生物活動がこれまで認識されてきた以上に地球の炭素循環に大きく寄与している可能性が示唆されている.

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井尻(2020) 泥火山における生物地球化学過程とその意義 泥火山は噴出するガスの有機化学的分析から始まり、微生物との関係、化学合成生物群集との関連、クランプト同位体による生成温度推定など幅広い分野に関連している。特に、付加体における過去の巨大分岐断層との…文字数 https://t.co/vsKZlLt0G1
総説 泥火山における生物地球化学過程とその意義 井尻 暁 https://t.co/oXHUMTEmNY

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