著者
小川 賢之輔
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.241-259, 1965-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本論文は,駿河湾北部に存在する,田子の浦砂丘を研究することにより,該砂丘類似の地形2)の成因・形成過程及び形成の時期等を解明しようとするものである.筆者は,該研究を進めるにあたり,地形学的方法・地質学的方法及び,考古学的方法等を採用して,下記考察を試みた. 1)海岸に発達する,砂丘地形の観察・地質構造の解明及び,堆積物の岩質等により,物質の供給源と運搬営力とを考察した. 2) 該砂丘類似の地形形成過程に関しては,主として,砂丘の一般地形・地質構造・構成する地層の層相及び,物質の粒度・運搬営力・氷河期及び,地殼変動に於ける海面の昇降・風波の営力等の関連に於て,堆積機構・形成過程等を考察した. 3) 該砂丘類似の地形形成の時期に関しては,洪積世以後の海面の昇降・生物化石・Key bedの追跡・砂丘に埋没している文化遺跡の調査・歴史上の事実等により,砂丘形成時期の考察を試みた. 以上の考察により,一応下記の通り堆論した.即ち, 1) 海岸に発達する,砂丘類似の地形のあるものの成因は,まず,主として,付近河川によって,内陸より運搬された物質・海食により崩壊した物質等が,主として,沿岸流によって,浅海底に運搬され,狭長に堆積して,海面下に沿岸州を形成した. 2) 浅海底に形成された沿岸州は,やがて,海退に伴って海面上に姿を現わし,砂丘の基底をなす砂州を形成した. 3) 砂州が形成されるや,風波の営力による飛砂が堆積し,砂州を覆って,砂丘が発達した.従って,現在各地に存在する,該砂丘類似の地形のあるものは,既に,以上の形成過程に於て,今日観察される地形を決定される。4) 該砂丘類似の地形の,あるものの形成時期は, 2期に分けられる.即ち,前期は,海面下で,沿岸州の成長しつつある時期であり,後期は,海退に伴って,海面上で,砂丘の形成されつつある時期である.

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