著者
田渕 肇
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.183-190, 2016-06-30 (Released:2017-07-03)
参考文献数
15

急性一過性の健忘を呈する患者のなかに, 健忘の原因がてんかん性の機序であるような, 一過性てんかん性健忘 (transient epileptic amnesia: TEA) と呼ばれる一群がいる。TEA の患者は, 典型的には発作時でも記憶以外の認知機能がほぼ保たれる。発作時を除けば, 記憶を含む認知機能検査の成績はあまり低下しない。一方で, TEA 患者には, てんかん発作に起因すると思われる, 発作間欠期に生じる特徴的な健忘症状もしばしば認められる。加速的長期健忘 (accelerated long-term forgetting) などと呼ばれる前向性健忘や, 主に自伝的記憶の障害で現れる遠隔記憶障害 (逆向性健忘) である。てんかん性健忘は認知症と誤診されることもあるが, 抗てんかん薬の治療により軽快する疾患であり, 鑑別は重要である。本稿ではてんかん性健忘と診断された症例を紹介し, 特徴的な健忘症状について述べる。

言及状況

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てんかん性健忘 https://t.co/y2iGj4tK2k
https://t.co/Y4JugPJ94m 「加速的長期健忘」 新たに獲得した記憶が30分程度であれば保持できているのに、数日から数週間経つと消えてしまう(定着しない)
てんかん性健忘 https://t.co/Y4JugPJ94m 記憶のない時間が30~60分程度続くことがあるが、記憶以外の認知機能は保たれる

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