著者
Tomoki Shibuya Yuki Murakawa Koji Nishidate Manabu Nishiyama Yoshinori Kanayama
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.94-104, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
36
被引用文献数
6

切り花類の開花調節において発光ダイオードを効率的に利用するためには,単色光に対する花成や花成関連遺伝子の応答について良く理解することが必要である.長日性切り花類の花成の遠赤色光に対する応答はよく研究されているが,青色光に関する知見は少ない.すでに,長日性切り花であるシュッコンカスミソウ(Gypsophila paniculata)‘ブリストルフェアリー’の花成や FLOWERING LOCUS T と SUPPRESSOR OF OVEREXPRESSION OF CONSTANS 1 のホモログである GpFT と GpSOC1 の発現が,青色光による長日処理では促進されないことが明らかとなっている.本研究では,シュッコンカスミソウ‘ミリオンスター’の花成が青色光による長日処理によって促進されたことから,シュッコンカスミソウにおいて青色光による花成応答の多様性が示唆された.そこでさらに,青色光で花成が促進された上記品種を使用し,GpFT と GpSOC1 の発現を調査した.その結果,‘ミリオンスター’の GpFT と GpSOC1 の発現は‘ブリストルフェアリー’と異なり青色光によって促進された.次に,青色光に対する花成応答に関与すると考えられる FLAVIN-BINDING KELCH REPEAT F-BOX 1 と GIGANTEA のシュッコンカスミソウホモログである GpFKF1 と GpGI を解析した.その結果,GpFKF1 と GpGI のアミノ酸配列は良く保存されており,その発現はシロイヌナズナと同様に短日と長日で異なるピークをもつ日周変動を示すこと,さらには GpFKF1 と GpGI が相互作用することが明らかとなった.一方,‘ブリストルフェアリー’と‘ミリオンスター’の 2 品種間において GpFKF1 および GpGI のアミノ酸配列には重要な違いはみられなかった.以上の結果,青色光応答の多様性は GpFKF1 および GpGI よりも GpFT および GpSOC1 に関連していることが示唆された.

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