著者
川俣 恵利
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.15-23, 1976 (Released:2007-07-05)
参考文献数
36
被引用文献数
1

当場果樹園に栽植中のナシに光化学スモッグによる被害と思われる症状が見られたので, その被害症状について環境バクロ室で発生した被害を参考にして調べた.1. ナシの徒長枝上の生育旺盛な葉にクロロシス, 褐変およびネクロシス (壊死) の症状が認められた.2. 被害を受けた葉は全クロロフィル, クロロフィルbが著しく減少した. また, 軽症葉ではデンプンが蓄積し, 被害が進行するにつれデンプンは徐々に崩壊した.3. 軽症葉ではO3吸収量は著しく増加したが, CO2放出量はやや増加した程度で, RQは健全葉より低かつた. 重症葉でもO2吸収量は増加したが, CO2放出量が減少したため, RQは健全葉の1/2程度であつた.4. 被害葉の無機成分含量は全般的に減少しており, なかでもNおよびMgは軽症でも著しく減少していた. しかし, 重症になるとP, K, Mgはあまり変化がみられなかつたのに対し, NとCaは減少が続いた.5. 被害により著しく減少したRQと全クロロフィル, クロロフィルaおよびbとの間には極めて高い正の相関がみられた. またNと全クロロフィル, Caと全クロロフィル, NとRQ, CaとRQとの間にも0.1%レベルの正の高い相関が認められた.6. 被害症状はオゾンないしPANによるものと類似しているように思われたが, 東京の光化学スモッグは亜硫酸ガスおよび粉じんが多く含まれ, 一酸化炭素や窒素酸化物が低い傾向にあり, 光化学反応のメカニズムが解明されていない現状では, 原因物質について明らかな確証を得るまでには至らなかつた.
著者
松本 美枝子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.206-214, 1988 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

富山県等においてハクサイの主脈や葉脈に多数のゴマ状の黒色斑点の発生が認められた. この症状はゴマ症と呼ばれ, 発生の激しい場合は市場価格が著しく低下する. しかしゴマ症発生とその防止に関する報告は少ない.本報告ではまずハクサイ生育中のゴマ症発生の特徴を調査し, さらに発生部位とその周辺を形態学及び組織化学的に観察した.1. ‘ひばり’や‘耐病60日’に認められるゴマ症の発生は, その現象から2タイプに分けられた. タイプ1は未成葉で発生し, 初期生育が異常促進されることと密接な関係があった. タイプ2は成葉で発生し, 結球重に対する外葉重の割合の低下が関係していた.2. 形態学的には, 斑点発生に先だち, まず細胞内顆粒の肥大が認められ, その後細胞壁が褐変した. この細胞壁の褐変は, 細胞内顆粒や核の肥大と共にさらに拡大し, 周辺には原形質分離細胞が認められた.3. 組織化学的には, 斑点発生部位にクロロゲン酸の存在とポリフェノールオキシダーゼの活性が認められ,その周辺にポリフェノールの存在とパーオキシダーゼの反応が認められた.4. 褐変細胞の顆粒周辺に亜硝酸の分布が認められ, 細胞内顆粒の肥大が認められる部分と一致した.
著者
大久保 直美 辻 俊明
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.344-353, 2013 (Released:2013-11-16)
参考文献数
13
被引用文献数
12 14

チューリップの花の香りの質は,カンキツ様の香り,ハチミツ様の香り,青臭い香りなど,バラエティに富んでいる.そこで,チューリップの香りの質の多様性を化学的に明らかにするために,香りに特徴のある 51 品種のチューリップの香りを採取し,GC-MS を用いて解析した.チューリップの主要香気成分は,5 つのモノテルペノイド(ユーカリプトール,リナロール,d-リモネン,トランス-β-オシメン,α-ピネン),4 つのセスキテルペン(カリオフィレン,α-ファルネセン,ゲラニルアセトン,β-イオノン),6 つの芳香族化合物(アセトフェノン,ベンズアルデヒド,ベンジルアルコール,3,5-ジメトキシトルエン,サリチル酸メチル,2-フェニルエタノール),5 つの脂肪酸誘導体(デカナール,2-ヘキサナール,シス-3-ヘキサノール,シス-3-酢酸ヘキセニル,オクタナール)であった.主要香気成分の割合と生花の官能評価から,チューリップの香りは,アニス,シトラス,フルーティ,グリーン,ハーバル,ハーバル・ハニー,ロージィ,スパイシー,ウッディの 9 種類に分類された.
著者
小玉 雅晴 田邊 雄太 中山 真義
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.372-379, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
25
被引用文献数
6 6

アジサイの多くの品種は土壌条件によって花色が変化する.このアジサイの花色変化は,土壌からのアルミニウム吸収と発色器官であるがく片の液胞へのその蓄積量の違いによって生じる現象であると考えられている.本研究では,花色を安定に発色する技術を発展させるために,花色発現の安定性および可変性をもたらす要素を明らかにすることを試みた.今回は,酸性土壌およびアルカリ性土壌の異なる土壌条件下において,赤色あるいは青色を安定的に発色する品種,および土壌条件によって色が赤色と紫色に変化する品種を 10 品種用いて,がく片の pH,アントシアニン,アルミニウム,5-O-caffeoylquinic acid,3-O-caffeoylquinic acid について,土壌条件と花色の安定性および花の色彩の関係を解析した.花色安定品種の変化は可変品種の変化よりも小さかったものの,いずれの品種もアルカリ性土壌で栽培した場合に比べて,酸性土壌で栽培した場合に青色の色調が強くなった.花色安定品種と可変品種では,同じ要素の変化が土壌条件に対応して生じることで,花色の変化が発現すると考えられる.2 種類の土壌条件で比較した場合,可変品種の一つである‘HH2’の delphinidin 3-glucoside および赤色安定品種の一つである‘HH19’の 3-O-caffeoylquinic acid 以外,アルミニウムイオンの量を含むいずれの要素についても統計的に有意な差が認められた要素はなかった.アルミニウムイオンの着色細胞の液胞への局在性が変化した可能性が残っているものの,我々はリン酸などのアルミニウムイオンとキレートする化合物量の土壌条件に対応した変化が,発色に影響を与えている可能性を考えている.花色に基づいて比較した場合,青色安定品種においてアルミニウムイオンと 5-O-caffeoylquinic acid の含有量が,他の品種に比べて高い傾向が認められたものの,統計的に有意な違いは認められなかった.一方で,過去の報告と同様に,3-O-caffeoylquinic acid の含有量が低いことが,アジサイにおける青色発色の必要条件になっている可能性が示された.
著者
望月 龍也 石内 伝治 伊藤 喜三男
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.1000-1006, 1999-09-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

遺伝的に多様なトマト30品種・系統を供試し, 完熟果実におけるグルコースおよびフルクトース含量の作期および果房位による変動特性の差異を検討した.トマト品種・系統間における両成分含有量の相対的関係は, 栽培・環境条件の変動に対して比較的安定していた.また全体を通じてグルコース含量とフルクトース含量には高い正の相関がみられたが, 糖含量が高くなるほど全体に占めるフルクトース含量の比率は低くなる傾向がみられた.全品種・系統をこみにした作期・果房位ごとの平均値に対する, 対応する作期・果房位における糖含量の回帰分析から, 供試材料は, (1)作期・果房位ごとの糖含量が全供試材料の平均値とほぼ平等して変動する品種・系統, (2)作期・果房位間の変動が全供試材料の平均より大きい品種・系統, (3)作期・果房位間の変動が小さく安定した糖含量を示す品種・系統, (4)回帰直線への回帰が有意でなく糖含量変動が全供試材料の変動傾向と異なる変動を示す品種・系統が認められたが, 糖含量が高くかつ変動の小さい品種・系統は見出せなかった.
著者
中村 俊一郎
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.367-375, 1972 (Released:2007-07-05)
参考文献数
20
被引用文献数
5 6

1970, 71年の2年にわたり, イチゴの10余品種を採種してその発芽性を調査した.1. どの品種も強い光感性を示し, 暗黒下の発芽は不良であつた. 発芽温度については変温が著しく促進効果を示した. 恒温では25°C付近が適温であつたが, 20°Cから30°Cにわたつて比較的幅広い適温帯があつた.2. 採種後約1年間では休眠性の変化はみられず, 各品種とも強い休眠性を維持した.3. 薬品処理では硝酸カリが最も効果を示し, エスレルおよびジベレリンも相当程度有効であつたが, チオ尿素はわずかな効果しか示さなかつた.4. 低温処理は短期間では効果がなく, 1か月以上の処理が有効で, 3か月間処理すると大きな発芽促進効果を示した.5. 濃硫酸処理を行なつて種皮を腐蝕すると発芽が相当に促進され, イチゴ種子の休眠には種皮が大きな役割をもつていると考えられる.6. 近赤外光は強い発芽抑制作用を示し, 変温を行なつても発芽率は0%であつた. ただし低温処理は近赤外光の抑制作用に相当程度うちかつことができた.7. 種子は乾燥または低温下で良好に貯蔵された.
著者
Takamitsu Waki Masaharu Kodama Midori Akutsu Kiyoshi Namai Masayuki Iigo Takeshi Kurokura Toshiya Yamamoto Kenji Nashima Masayoshi Nakayama Masafumi Yagi
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.OKD-096, (Released:2017-09-29)
被引用文献数
1 8

Double flower and hortensia (mophead) hydrangea (Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser.) traits are recessively inherited. Cross breeding of these traits in hydrangea is difficult because it takes about two years from crossing to flowering. In this study, we aimed to obtain DNA linkage markers that would allow accelerated selection of these traits. We used next-generation sequencing to comprehensively collect DNA sequences from the ‘Kirakiraboshi’ with a double flower and lacecap inflorescence and the ‘Frau Yoshimi’ with a single flower and hortensia inflorescence, and designed simple sequence repeat (SSR) primer pairs for map construction. We screened 768 SSR primer pairs in 93 F2 progeny derived from ‘Kirakiraboshi’ and ‘Frau Yoshimi’. We identified 147 loci, which were expanded to 18 linkage groups with a total map length of 980 cM. Linkage analysis identified that both the double flower trait from ‘Kirakiraboshi’ (dKira) and the hortensia trait from ‘Frau Yoshimi’ (hFrau) were located on linkage group KF_4. Detailed linkage analysis using 351 F2 progeny revealed a 34.8 cM map length between the two loci and identified two tightly linked SSR markers, STAB045 for dKira and HS071 for hFrau. Genetic analysis suggested that double flower and hortensia traits are each controlled by a single recessive gene. Together, the linkage map, SSR markers, and genetic information obtained in this study will be useful for future hydrangea breeding.
著者
小泉 丈晴 山崎 博子 大和 陽一 濱野 惠 高橋 邦芳 三浦 周行
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.205-208, 2002
被引用文献数
14

アスパラガス促成栽培における若茎の生育に及ぼす品種,低温遭遇量,株養成年数および性別の影響を検討した.<br> 曲がり症は,低温遭遇にともない発生率が低下し,曲がり症を発生した若茎に立枯病の病徴である導管褐変がみられなかったことから,促成栽培における曲がり症は休眠覚醒が十分でないことにより発生すると推定された.2年生株の供試品種のいずれにおいても,販売可能若茎重および若茎収穫本数は低温遭遇量が多い区で増加した.'バイトル'および'ウェルカム'は,低温遭遇量が少なくても曲がり症発生率が低下し,販売可能若茎重および若茎収穫本数が増加し,'グリーンタワー'および'スーパーウェルカム'より休眠が浅いと考えられた.'グリーンタワー'の1年生株の雄株および雌株並びに2年生株の雄株では,曲がり症発生率および販売可能若茎重から判断すると,伏せ込み開始時期は2年生株を用いた従来の栽培よりも約2週間の前進が可能であることが示された.<br>
著者
橘 温 森岡 節夫 中井 滋郎
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.9-15, 1987 (Released:2007-07-05)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

早生ウンシュウ‘宮川早生’を, 無深耕•少肥及び深耕•施肥と, 無せん定•無摘果及びせん定•摘果の各栽培条件下で, ha 当たり1,250, 2,500, 5,000及び10,000本の4つの栽植密度で, 1967年に植え付けた. その後間伐せずに栽培を続け, 4年生時 (1969年) から19年生時(1984年) までのデータを用い, 各栽培条件下における栽植密度が, 単位面積当たりの収量に及ぼす影響を検討した. また各栽培条件が収量に及ぼす影響も比較検討した.1. いずれの栽培条件においても, 収量は初期に5,000及び10,000本/haの高密度で多かったが, やがて減少傾向に転じ, 樹齢とともに1,250及び2,500本/haの低密度で多くなった. 以上の関係は, 栽培条件によってほとんど影響を受けないようであった.2. 各樹齢において, 最高収量を示した栽植密度, すなわち収量に関する最適密度は, 4~5年生; 10,000本/ha, 6~7年生; 5,000本/ha, 8~13年生; 2,500本/ha, 及び14~19年生; 1,250本/haであり, 最適密度における4年生時から19年生時までの平均収量は68t/haであった.3. 各栽植密度が隔年結果を示し始めた時の樹齢は, 無せん定•無摘果条件において, いずれも初めて結果した翌年であった. せん定•摘果条件においては, 栽植密度の低下とともに遅れて現れた.4. 無深耕•少肥条件と深耕•施肥条件の収量を比較すると, 後者の方が年次変動は小さかったが, 両者の間にほとんど差はみられなかった.無せん定•無摘果条件とせん定•摘果条件の収量を比較すると, 前者の方が明らかに年次変動が大きく, また収量はやや多いようであった.
著者
Sho Ohno Mizuki Yokota Haruka Yamada Fumi Tatsuzawa Motoaki Doi
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-305, (Released:2021-08-04)

Yellow color in dahlia flowers is conferred from chalcones, butein and isoliquiritigenin. The color intensity of yellow dahlia cultivars is diverse, but a detailed study on this has not yet been performed. In this study, we first identified structures of flavonoids by nuclear magnetic resonance imaging in ray florets of the red-white bicolor ‘Shukuhai’, which contains chalcones, flavones and anthocyanins. Four anthocyanins, four flavone derivatives, five isoliquiritigenin derivatives and five butein derivatives were identified. Among the identified compounds, butein 4'-malonylsophoroside is considered to be the final product for butein derivatives and the presence of chalcone 4'-glucosyltransferase, chalcone 4'-glucoside glucosyltransferase, and chalcone 4'-glucoside malonyltransferase for isoliquiritigenin and butein modification was predicted. Also, the biosynthetic pathway of butein and isoliquiritigenin derivatives in dahlia with butein 4'-malonylsophoroside as the final product was predicted from the identified compounds. Next, we used nine yellow cultivars and lines with different color intensities and analyzed the correlation between the b* value, an indicator of yellow color, and level of chalcones. There was no difference in the presence or absence of major peaks among the cultivars and lines. Peak area per fresh weight measured by HPLC was high in butein 4'-malonylglucoside, butein 4'-sophoroside and isoliquiritigenin 4'-malonylglucoside, suggesting these three compounds were accumulated abundantly. Among the identified chalcones, the highest correlation coefficient was detected between the b* value and butein 4'-malonylglucoside (r = 0.86), butein 4'-sophoroside (r = 0.82) or isoliquiritigenin 4'-malonylglucoside (r = 0.76). These results suggest that these three chalcones confer yellow color in dahlia ray florets. The findings in this study will contribute not only to efforts at breeding new yellow dahlia cultivars, but also to molecular breeding of yellow flowers in other species by introducing the butein biosynthetic pathway.
著者
加藤 公道 佐藤 良二
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.89-97, 1975 (Released:2007-07-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

白肉桃 (大久保および白鳳) を10°C, 15°C, 20°C, 25°C, 30°Cの各温度で追熟し, 呼吸量, エチレン排出量, 硬度, はく皮性, 糖分, 食味などを調査して, モモの追熟生理を検討した.1. 大久保の20°Cでは, 25°Cよりエチレン排出量が速く増加してピークも高く, 呼吸量もピークに早く達し, はく皮も早く可能になつたが, 軟化は25°Cもほぼ同様に進んだ. 20°C, 25°Cでは, 呼吸のピークの2~3日後にエチレン排出量がピークに達し, その後急速に減少した. 呼吸のピーク時の熟度は20°Cが適熟, 25°Cは過熟であつた.2. 白鳳では1日後のエチレン排出量が大久保より多く, 軟化は速く進んだ. 25°Cでは, 20°Cより呼吸量が早くピークに達し, 軟化も速く進んだが, エチレン排出量は20°Cもほぼ同様に増加した.3. 10°C, 15°Cでは, 呼吸量, エチレン排出量がゆるやかに増加し, 軟化は穏やかに進み, はく皮性の進行もかなり遅れた. 大久保の10°C, 15°Cではエチレン排出量, 軟化, はく皮性が25°Cとほぼ同じ状態まで達したが, 10°Cではフレーバーが劣つた. 大久保の15°Cでは, 呼吸のピーク時からエチレン排出量が減少するまでの期間が, 25°Cと異なり長かつた. 適熟に達するまでの追熟期間は, 25°Cと比べて, 10°Cでは約3倍, 15°Cは約2倍であつた.4. 30°Cではエチレン排出量が抑制されて, 減少する傾向が認められた. 呼吸量の増加はほとんど認められなかつたが, 軟化は白鳳では25°Cと同様に速く, 大久保では2~3日後まで25°Cよりやや遅れたが, その後は速く進んだ.5. 30°Cでは還元糖は漸増した. 水溶性ペクチン含量は軟化の進行とともに増加し, 硬度と密接に関連した.6. 以上の結果から, 追熟温度は果肉の色, エチレン排出量, 軟化の速さなどに影響を及ぼし, エチレンは呼吸の climacteric, 軟化, はく皮性の進行などを促進した. 呼吸量, エチレン排出量, 軟化, はく皮性などは追熟中相互に関連しながら進んだが, これらの相互関係は品種, 追熟温度により影響を受けることが認められた.
著者
元木 悟 柘植 一希 北條 怜子 甲村 浩之 諫山 俊之 藤尾 拓也 岩崎 泰永
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.269-279, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

露地夏秋どりミニトマトのネット誘引無整枝栽培(ソバージュ栽培,以下, ソバージュ)の収量は,主枝1本仕立て栽培(以下,慣行)に比べて,株数が6分の1程度であるにも関わらず,慣行と同等以上の収量が見込める.また,ソバージュは収穫作業以外の作業時間を慣行に比べて有意に短縮できる.そこで本試験では,ソバージュを全国に普及させるため,温暖地の神奈川圃場に加え,ソバージュと同じミニトマトの夏秋どり栽培(ただし,ハウス雨除け夏秋どり栽培)が一般的である岩手および広島圃場おいて,3年間(岩手圃場は2年間),ソバージュと慣行の収量および品質を比較した.また,ソバージュの経済性を検討するため,ミニトマトの夏秋どり栽培の農業経営指標を参考に,各地域におけるソバージュの経済性評価を行った.その結果,露地夏秋どりミニトマトのソバージュにおける収量については,既報と同様,岩手および広島圃場においても単位面積当たりの収量は慣行と同等であり,株当たりの収量は慣行に比べて多かった.ソバージュの品質については,岩手圃場では既報と同様,ソバージュの糖度は慣行と同等か低い傾向であったものの,リコペン含量は栽培法および栽培年の間に一定の傾向が認められなかった.一方,広島圃場では,ソバージュの糖度およびリコペン含量は慣行と同等か高い傾向であった.ソバージュの経済性評価については,広島県の農業経営指標を参考に,本試験で実際に栽培した‘ロッソナポリタン’の可販果収量の月別平均値を用い,既報の作業性の結果を参考に試算した結果,ソバージュの利益は10 a当たり86万~110万円,労働時間は333~568時間,1時間当たりの利益は1,933~2,661円であった.
著者
Yasushi Kawasaki Yuki Yoneda
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-R004, (Released:2019-04-05)
被引用文献数
8

Uniform temperature throughout a greenhouse is recommended, as the present climate control method and many other studies have shown that the temperature gradient decreases vertically and horizontally in a greenhouse. However, recent research revealed that roots, fruits, flowers, and shoot-tips are more sensitive to temperature changes than leaves and stems, indicating that uniform temperature control may not be necessary. In addition, energy-saving techniques that do not lead to yield loss are desirable to reduce energy costs and ensure sustainable greenhouse production. In this paper, we review current studies on local temperature control methods in greenhouse vegetable production, primarily focusing on the tomato, and compare them with novel climate-control techniques. Roots, fruits, shoot-tips and flowers are sensitive to temperature changes, showing negative symptoms under extreme temperature conditions. Therefore, the temperature of these plant organs should be controlled locally. Root zone temperature control enhances root growth and its associated physiological activities, promoting uptake of water and mineral nutrients. This subsequently leads to enhanced growth of shoots. Fruit temperature control may not be effective for tomato plants, but it promotes fruit growth and fruit sugar accumulation in melons and watermelons. Shoot-tip temperature control promotes the differentiation of leaf and flower buds. Flower temperature control enhances pollen viability and promotes fruit set. The combination of shoot-tip and flower heating enables low energy consumption compared with conventional heating, without loss of yield. Local temperature control techniques (except roots) have been studied in recent years; however, there is a distinct lack of research on the physiological mechanisms and practical approaches to develop a better local temperature control system. Thus, further studies are required on this area in the future.
著者
Yuya Mochizuki Tiejun Zhao Wataru Kanematsu Takashi Kawasaki Takeshi Saito Akio Ohyama Akimasa Nakano Tadahisa Higashide
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-055, (Released:2019-04-11)
被引用文献数
2

To clarify the effect of ultrafine bubbles (UFBs) on the growth of tomato seedlings, we investigated elongation growth and dry matter production by analysing growth under different assimilation conditions and by modelling. The leaf area enlargement rate of plants grown with UFB nutrient solution increased and the specific leaf area (SLA) decreased at 18 days after sowing (DAS) relative to those grown without UFB solution. Thus, UFBs increased both leaf area and leaf thickness. UFB significantly increased the relative growth rate (RGR) and net assimilation rate (NAR) at 18 DAS, but there was no significant difference in SLA, RGR, and NAR between treatments at 25 DAS. These results were used to model plant growth with and without UFB treatment. In a second experiment, UFB treatment increased aboveground dry weight under a low-assimilation condition, but had no significant effect under a high-assimilation condition. Our model supported these results. It was also implied that UFB treatment affected leaf area expansion, but not dry matter production. Although the values predicted by the model were slightly lower than observed, it was possible to predict the effect of UFB treatment on plant growth with high accuracy.
著者
Hadiseh Haghi Vali Rabiei Ahmad Ershadi Farhang Razavi
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-056, (Released:2019-04-13)
被引用文献数
1

As a major growth limitation, low temperature-induced injuries may adversely affect grape production in many areas. Ten-year-old grapevines ‘Thompson Seedless’ were sprayed with calcium chloride (CaCl2) three times at 10-day intervals from 19th September to 8th October 2015 and again in 2016 in a commercial vineyard. Bud samples were collected in December 2015 and 2016, January 2015 and 2016 and February 2016 and 2017. The buds were exposed to freezing treatments: −12, −16, −20, −24, and −28°C for 3 hours, to assess their low temperature tolerance. Moreover, the relationships among freezing tolerance and changes in antioxidant enzyme activity, soluble carbohydrates, proline and total proteins were investigated. Irrespective of foliar spray treatments, the freezing tolerance of buds increased from December to January and decreased in February. Application of CaCl2 at a 1% concentration resulted in increased bud freezing tolerance compared to the control plants. Application of 1% CaCl2 considerably increased the concentrations of soluble carbohydrates and total proteins in buds, but had subtle and inconsistent effects on proline. Activities of superoxide dismutase (SOD) and ascorbate peroxidase (APX) were increased in response to foliar application of CaCl2; however, inconsistent changes were found in the activities of catalase and peroxidase following CaCl2 application. The results showed that application of 1% CaCl2 increased freezing tolerance of grapevines predominantly via upregulating soluble carbohydrates and total proteins.
著者
太田 弘一 森岡 公一 山本 幸男
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.125-132, 1991 (Released:2008-05-15)
参考文献数
20
被引用文献数
23 26

ファレノプシスは近年生産の伸びが大きい花卉であり, その好適な栽培条件の設定のために研究が進められている. ファレノプシスの花序は低温条件によって誘導されることが知られており (17), 山上げ栽培や人工低温処理を行うことによって, 早期出荷が行われている. また, 温度処理の際の, 株の充実状態や光•変温条件などの環境要因も花序形成に影響することが知られている (3,8, 12,14, 17,18, 19).一方, ファレノプシスはCAM (Crassulacean acid metabolism) 植物として知られている (1,7). CAM植物は夜間に吸収したCO2を有機酸の形にして細胞の液胞中に蓄積し, 昼間にそれを分解して, 光エネルギーを利用してでんぷん合成を行うという特徴的な光合成を行う. この夜間と昼間を通した, CO2吸収からでんぷん合成に至る過程をCAM型光合成と呼ぶ (13, 14).典型的なCAM型光合成のCO2吸収の日周変動パターンは, 夜間の高い吸収 (phase I), それに続く光が当たった直後の高い吸収 (phase II) とその後の急激な減少およびCO2吸収がほとんど見られない期間 (phase III), そして, 夕方に再び低い吸収が見られる (phase IV), という四つの相に分けられる (13). そして, この過程を通して, 夜間に気孔を開き, 蒸散の多い昼間には気孔を閉じているために, CAM植物は強い乾燥耐性を獲得している (6).CAM植物には, 生育条件によってC3型光合成とCAM型光合成との間で変動が見られるfacultative-CAM plantと, 生育条件にかかわらずCAM型光合成を行うobligate-CAM plantがある (13). さらに,いずれのCAM植物も, 水分, 昼夜温, 光強度, 日長などの環境条件や葉齢, 窒素栄養条件によってCAM型光合成が影響を受けることが知られている (6, 11,13, 14).したがって, ファレノプシスのCAM型光合成も, これらの要因によって変動し, それが生育および花序形成になんらかの影響を及ぼすことが考えられる.本研究は, 上述の要因のうちで生育と密接に関連した外的要因の水分, 温度, 光の3条件および内的要因の葉齢と花序形成の有無に視点を当て, それらによってファレノプシスのCAM型光合成がどのような影響を受けるかを明らかにし, ファレノプシスの好適な栽培条件設定のための基礎的知見を得ることを目的として行った.
著者
髙橋 賢人 相原 悟 元木 悟
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.295-303, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
33

鮮度保持に関する研究は多くの野菜で行われており,果梗やへたなどが付いている野菜は,それらを介して蒸散が行われ,レモンやナス,食用ホオズキなどでは,へたや萼の有無が鮮度保持に影響を及ぼすことが報告されている.しかし,ミニトマトでは,へたの有無が収穫後の貯蔵性などに及ぼす影響について検討した報告は見当たらない.本研究では,果形の異なる4品種のミニトマトを用い,へたの有無が貯蔵性に及ぼす影響を検討した.その結果,25°C貯蔵において,重量減少率および呼吸量は,いずれの品種においても,へたなしがへたありと同等か低く,水分含有率およびアスコルビン酸含量は,いずれの品種においても,へたなしがへたありと同等か高かった.さらに,カビは,いずれの品種においても,へたなしでは発生せず,へたありでは発生した.なお,カビ発生率は,丸・偏円形の ‘千果’ および ‘ミニキャロル’ が洋ナシ形の ‘アイコ’ および ‘ロッソナポリタン’ に比べて有意に低かった.以上から,ミニトマトの25°C貯蔵において,へたなしがへたありに比べて貯蔵性に優れることが示唆された.
著者
仙頭 照康
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.246-254, 1971 (Released:2007-07-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ユスラヤシ, シュロチクヤシ, シュロおよびトウジュロについて発芽機構, 最適発芽条件を知るために, 1966~1970年実験を行なつた。1. ユスラヤシ種子の内果皮は薄く, 繊維がある。胚乳は種皮に似た組織が入り込んでいるため均質でない。発芽型は隣接•小舌状である。シュロチクヤシ種子は周囲に深い折目のある5条の縦みぞがあり, 胚乳は均質である。発芽型は隣接•小舌状である。シュロおよびトウジュロ種子にはコルク組織があつて, 胚乳に接している。発芽型は遠距離•管状である。2. 発芽率の最高はユスラヤシ40%, シュロチクヤシ60%前後, シュロおよびトウジュロはいずれも90%前後であつた。3. 適温での発芽日数はもつとも早いものが, ユスラヤシで18日, シュロチクヤシで14日, シュロは30日で, トウジュロはシュロより2~3日長かつた。4. は種用土別の発芽はユスラヤシでは高温でバーミキュライト区, 川砂区がよく, シュロチクヤシでは粘質壌土区がややよかつた。シュロではいずれのは種用土でも大差なかつたが, トウジュロでは粘質壌土区の発芽率が高かつた。5. シュロ種子の生存能力は室温貯蔵で17か月, 冷蔵 (3~5°C) で42か月であつた。
著者
石水 毅 乗岡 茂巳 中西 テツ 崎山 文夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-38, 1998-01-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

ニホンナシの優れた栽培品種の一つである'豊水'のS遺伝子型は, 長年の交配実験によっても決定されていない.ニホンナシ花柱由来の7種類のS遺伝子産物(S1-RNaseからS7-RNase)を二次元電気泳動により分離・同定する系をすでに確立したので, この系を用いて'豊水'のS遺伝子型の決定を試みた.花柱タンパク質抽出液を一次元目が非平衡等電点電気泳動(NEPHGE), 二次元目がSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)からなる二次元電気泳動に供したところ, S3a, S3b, S5a, S5b-RNase(aとbは糖鎖の不均一性により分離したと考えられている)と同じ位置にそれぞれタンパク質スポットが検出された.これらのタンパク質をPVDF膜に電気転写し, 気相シーケンサーにより分析したところ, 4種類のタンパク質のN末端アミノ酸配列はすべて同じ(YDYFQFTQQY)で, S3-およびS5-RNaseのN末端アミノ酸配列と一致した(S3-RNaseとS5-RNaseのN末端アミノ酸配列は同じである).以上の結果より, '豊水'のS遺伝子型はS3S5であると推測した.
著者
Sachiko Isobe Kenta Shirasawa Hideki Hirakawa
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.108-114, 2020 (Released:2020-04-06)
参考文献数
37

Next generation sequencing (NGS) is one of the most impactful technologies to appear in the 21st century, and has already brought important changes to agriculture, especially in the field of breeding. Construction of a reference genome is key to the advancement of genomic studies, and therefore, de novo whole genome assembly has been performed in various plants, including strawberry. Strawberry (Fragaria × ananassa) is an allo-octoploid species (2n = 8x = 56), which has four discriminable subgenomes. Because of its complex genome structure, de novo whole genome assembly in strawberry has been considered a difficult challenge. However, recent advances of NGS technologies have allowed the construction of chromosome-scale de novo whole genome assembly. In this manuscript, we review the recent advances in de novo whole genome sequencing in strawberry and other Fragaria species. The genome structure and domestication history in strawberry is one of the largest questions in genetic and genomic studies in strawberry. Therefore, the domestication history in strawberry is also be reviewed based on comparisons of genes and genome sequences across Fragaria species.