著者
一條 信明
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2121, (Released:2023-04-30)
参考文献数
38

釧路市の820 m2 の小さな池に、2013 年から2015 年まで毎年春から秋にかけてアナゴ籠20 個を設置し、継続的にウチダザリガニの捕獲を行い、小型(< 30 mm 頭胸甲長)850 個体、中型(30-40 mm 頭胸甲長)471 個体、大型(>= 40 mm 頭胸甲長)80 個体を駆除した。捕獲個体数は、2013 年1205 個体、2014 年162 個体、2015 年34 個体と、年を経るごとに急激に減少した。2016 年から2020 年まで6 月から9 月にかけて20 個のアナゴ籠で毎年8 回以上ウチダザリガニの捕獲作業を行ったが、2016 年1 個体、2017 年2 個体、2018 年4 個体、2019 年7 個体と、捕獲個体数は極めて少なかった。2020 年には16 回捕獲作業を行ったが、捕獲個体数は0 だった。2013 年の捕獲結果について各月雌雄ごとのサイズグループ解析を行ったところ、7 月には年齢順にグループI、II、II、IV が判別できた。各グループの平均頭胸甲長から、I は小型個体、II は小型~中型個体、III は中型~大型個体、IV は大型個体に相当した。その後グループII、III、IV は消失し、9 月以降に池に残っていたのは若齢のグループI だけだった。2014 年と2015 年には、小型個体と中型個体は雌雄とも少数が捕獲され、大型個体は2014 年に雄2 個体2015 年に雄1 個体しか捕獲されなかった。その後、小型個体は2018 年以降、中型個体と大型個体は2020 年には捕獲されなくなった。本研究により、孤立した小水域において、アナゴ籠を多数使用し長期間駆除活動を行うことで、ウチダザリガニを根絶できる可能性が示された。

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北海道釧路市の小規模な池におけるアナゴ籠を用いた外来種ウチダザリガニ根絶に向けた試み https://t.co/xLbH3TR5Z6 #北海道の湿地研究
北海道釧路市の小規模な池におけるアナゴ籠を用いた外来種ウチダザリガニ根絶に向けた試み https://t.co/xLbH3TQy9y #北海道の湿地研究

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