著者
李 建志
出版者
学校法人 関西学院大学先端社会研究所
雑誌
関西学院大学先端社会研究所紀要 (ISSN:18837042)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.33-48, 2013 (Released:2021-05-15)

1930年代の日本と朝鮮は、戦争直前という時代背景のなか、さまざまな猟奇事件が流行っていた。しかし、これを受け入れる市民は、朝鮮と日本でずいぶんと大きな隔たりがあったように思う。ここに、金来成という作家がいる。彼は、戦前に江戸川乱歩の弟子として推理小説を書いていたが、戦後には推理小説を書かなくなった、いわゆる大衆作家である。彼は1930年代に朝鮮でデビューしたが、彼に続いて推理小説を書くものはいなかった。では、なぜ朝鮮文学の世界で彼だけが推理小説を背負ったのだろうか。これを、筆者は、金来成の二流性=時代の変化に飛びつくことはよくするが、その時代の変化の意味を悟ることができなかった作家としての特性によるものだと考える。本稿では、まず当時の朝鮮文壇の状況を、当時のことを描いた小説「九人会をつくる頃」を参考にうつしだし、さらに当時の日本の推理小説界と、日本の社会状況をそれと比較させることで、日本と朝鮮の「空気」の違いをうきぼりにすることを目指す。

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調べなおしてたけど、李箱と朴泰遠(クボの元ネタの話書いた人)同時に九人会入ってるしめちゃくちゃ仲良しだったんね https://t.co/OB6pCos1Yi https://t.co/CT0IO9hSfs

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