著者
河野 成史 野上 大史 木村 藍 椎原 春一
出版者
動物の行動と管理学会
雑誌
動物の行動と管理学会誌 (ISSN:24350397)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.146-153, 2021-12-25 (Released:2022-01-12)
参考文献数
34

飼育下キリンにおける四肢に関する疾患の1つである変形性関節症は、間欠的あるいは持続的な跛行がみられることがある。ヒトやイヌを対象とした保存療法として温熱療法が広く取り入れられているが、キリンでの報告はない。そこで本研究では、冬季に跛行がみられる変形性関節症(指骨瘤)のキリンにおいて、跛行の予防を目的としてウマの輸送用バンデージを装着し、無線式温度センサを用いて体表温度を測定することで、保温性および有効性を検証した。大牟田市動物園で飼育されているキリン1頭を対象とし、バンデージ装着時と未装着時の装着部位の体表温度、気温、跛行の有無を記録した。装着時は未装着時と比較して、装着部位の体表温度は高い値を示し、装着後は跛行がみられなくなった。バンデージの装着は肢の保温が可能であり、冬季に発生する跛行の予防に効果的であることが示唆された。

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