著者
久保田 徳仁
出版者
日本比較政治学会
雑誌
比較政治研究 (ISSN:21890552)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.19-40, 2017 (Released:2020-01-29)
参考文献数
55

国連などが実施する平和維持活動(PKO)は、PKOを受け入れる紛争当事国だけでなく、要員を提供する国(要員提供国)にも影響を及ぼすことが知られてきた。近年様々な議論が行われているが、計量分析を用いて理論の一般的妥当性を検証する研究は始まったばかりである。本稿の目的はクーデタに関する先行研究とPKO要員提供国に関する先行研究を組み合わせ、計量分析を通じてPKOの要員提供がクーデタに及ぼす影響を検証することにある。理論的な分析を通じ、PKOがもたらす4つの効果である、軍への資源配分の増大、国内任務能力向上、部隊の分散、シビリアンコントロール規範の受容、を取り上げ、クーデタの発生、成否との関係を整理する。そしてPKOの要員提供の4つの効果は政治体制ごとに異なることを示す。計量分析を通じて「国連PKOへの要員提供はクーデタの『成否』に影響を及ぼすが、政治体制ごとにその効果は異なり、特に民主主義国では要員提供に伴いクーデタの成功率が下がり、非民主主義国では要員提供に伴いクーデタの成功率が高まる」ことを示す。

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PKOの要員提供がクーデタの発生・成否に及ぼす影響:1991~2007 https://t.co/KHMNGx6z8L

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