著者
門屋 寿 谷口 友季子
出版者
日本比較政治学会
雑誌
比較政治研究 (ISSN:21890552)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-18, 2019 (Released:2020-01-29)
参考文献数
65

冷戦の終結以降、競争的な選挙を実施する権威主義体制が増加した。このような現実を受け、選挙が権威主義体制の命運に与える効果についての実証研究が積み重ねられてきた。しかし、選挙がどのような政治現象に影響し、体制転換をもたらすのかはいまだ不透明である。本稿では、体制転換をもたらす重要なメカニズムである大衆蜂起に焦点を当て、権威主義体制下での選挙が蜂起の発生に与える効果を検証する。本稿の分析結果より、選挙の実施年に蜂起が促進される一方で、自由公正度の高い選挙の実施経験を積むほど、蜂起が抑制されることが明らかになった。この結果は、選挙が短期的に権威主義体制を不安定化させる一方で、長期的にはむしろ安定化させるという、権威主義体制の命運に与える効果を検討した研究と整合的であり、不透明であった選挙の効果のメカニズム解明に貢献している。また、本稿は、大衆蜂起という体制外アクターからの脅威に着目することで、権威主義体制下での選挙の効果についてのさらなる知見を積み上げるものである。
著者
中村 研一
出版者
日本比較政治学会
雑誌
日本比較政治学会年報 (ISSN:21852626)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.131-152, 2007-06-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
37

テロリズムは暴力の一種であり, 他の暴力と同様, 人々を殺傷し, 関心の焦点となり, 激しい感情を呼び起こす。また政治学の観点からは, テロリズムは, 政治変化を起こそうとする政治的行為であり, 同時に, 政治的なものを攻撃する反政治的手法である。こうしたテロリズムを認識するとき, 攻撃者の政治的狙いと反政治的手法を切り離して論じることに意味はない。そこで小論はつぎの5点を論じる。 (1) テロリズムを定義することの困難さがテロリズムの特質を反映している。 (2) テロリズムを人間類型ないし思想として定義することは不適切であり, それを「見せる効果のための暴力」と定義する。 (3) テロリズムをコントロール不能に導く《文法》として, 「見せる効果の極大化」「 (攻撃者と犠牲者との間の) 意図上の非対称性志向」を取り出す。 (4) テロリズムに伴う反道義的アナキー的行動様式は, 二つの《文法》から導かれる。 (5) 暴力の方向とコミュニケーションの方向を分裂させるテロリズムの特徴が, 見る人々の間に同様の連鎖反応を引き起こすとき, 政治空間が解体する。
著者
安中 進
出版者
日本比較政治学会
雑誌
比較政治研究 (ISSN:21890552)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.19-39, 2019 (Released:2020-01-29)
参考文献数
59

本研究は政治体制と栄養不足の関係を考察する。本研究は飢饉と異なり学問的蓄積の乏しい栄養不足を対象に、状況が最も深刻だと考えられているサブサハラ・アフリカにおいて、1991年から2014年にいたるTime-Series-Cross-Section(TSCS)データを用いた統計的分析によって、民主主義国家が他の変数を統制した上で民主主義自体の効果で栄養不足の改善に好ましい影響を与えているという分析結果を報告した。これは民主主義の好ましい影響が特に貧しい国々において見られることを意味し、これまで民主主義は貧しい国々では、うまく機能しないとした先行研究とは異なる結果である。また、貧困国のマラウイを対象にした事例分析によって、民主化後の農業を中心とする政策が栄養不足減少に寄与したメカニズムを説明した。
著者
奥 健太郎
出版者
日本比較政治学会
雑誌
比較政治研究 (ISSN:21890552)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-22, 2020 (Released:2020-03-25)
参考文献数
48

近年の日本では、日本の自民党政権では政策決定が内閣と与党に「二元化」されているのに対し、イギリスでは内閣に「一元化」されているとの見方が広く受容されている。本稿はこのような典型的なイギリス理解に修正を加えることを目的としたものである。そのために本稿が光を当てるのがイギリスの二大政党に設置された党内委員会である。本稿は第一に党内委員会が設置された歴史的経緯を検証し、第二に保守党と労働党の党内委員会の影響力に差が生じた要因を考察した。第三に保守党の農業委員会を事例として、党内委員会の影響力とその機能を明らかにした。本稿は、以上のイギリス政治の検証を通じ、イギリスの政策決定が内閣に「一元化」されていると表現することは、ミスリーディングであることを指摘した。また保守党と労働党の党内委員会の比較からは、日本の自民党政権における事前審査制の形成に、首相(党首)の持つ資源の少なさが影響していることが示唆された。
著者
久保田 徳仁
出版者
日本比較政治学会
雑誌
比較政治研究 (ISSN:21890552)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.19-40, 2017 (Released:2020-01-29)
参考文献数
55

国連などが実施する平和維持活動(PKO)は、PKOを受け入れる紛争当事国だけでなく、要員を提供する国(要員提供国)にも影響を及ぼすことが知られてきた。近年様々な議論が行われているが、計量分析を用いて理論の一般的妥当性を検証する研究は始まったばかりである。本稿の目的はクーデタに関する先行研究とPKO要員提供国に関する先行研究を組み合わせ、計量分析を通じてPKOの要員提供がクーデタに及ぼす影響を検証することにある。理論的な分析を通じ、PKOがもたらす4つの効果である、軍への資源配分の増大、国内任務能力向上、部隊の分散、シビリアンコントロール規範の受容、を取り上げ、クーデタの発生、成否との関係を整理する。そしてPKOの要員提供の4つの効果は政治体制ごとに異なることを示す。計量分析を通じて「国連PKOへの要員提供はクーデタの『成否』に影響を及ぼすが、政治体制ごとにその効果は異なり、特に民主主義国では要員提供に伴いクーデタの成功率が下がり、非民主主義国では要員提供に伴いクーデタの成功率が高まる」ことを示す。

1 0 0 0 OA 5 アチェ紛争

著者
西 芳実
出版者
日本比較政治学会
雑誌
日本比較政治学会年報 (ISSN:21852626)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.103-121, 2001-06-20 (Released:2010-09-09)
参考文献数
16