著者
森 裕城
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.18-32, 2018 (Released:2021-07-16)

本稿の目的は,小選挙区比例代表並立制における政党競合の展開を,共時的・通時的の両面からトータルに叙述することである。本稿における主な発見は次の3点にまとめられる。①中選挙区制時代の政党競合のあり方が,新しい選挙制度のあり方を規定しており,それが自民党に有利に働いたこと,②小選挙区比例代表並立制導入後の巨大政党の誕生は,予言の自己成就としての性格を有しており,それが非自民勢力に多大な負荷を与えたこと,③異なる原理を有する小選挙区制と比例代表制を足し合わせた制度である小選挙区比例代表並立制は,政治過程に複雑な力学をもたらしており,それが現在の野党分断現象を生んでいること。同じ小選挙区比例代表並立制であっても,小選挙区の数(比率ではない)がいくつになるかで,政党競合のあり方が大きく変わることを,本稿の内容は示唆している。

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選挙区と比例代表に連動効果があるせいで野党が分断されるという話、1983年の参院選の時点で既に指摘されていたのね。毒饅頭と分かった上で小選挙区比例代表並立制を実現させた小沢一郎こわい 小選挙区比例代表並立制と政党競合の展開 (森 裕城) https://t.co/c093IO4Cyp
全ては30年前に決定したhttps://t.co/Hax0YKZl3b

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