著者
本所 恵
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.63-72, 2012 (Released:2018-10-01)

スウェーデンの初等・中等教育では、多くの教師の支持のもとで「ナショナル・テスト」と呼ばれる国家による学力テストが行われている。本稿では、全国学力テストの歴史を辿ることで、その支持の背景を明らかにした。とくに、ナショナル・テストの前身である標準テストの誕生から、ナショナル・テストへの転換、そして現在の変容までを対象として、全国学力テストをめぐる議論を検討した。現場教師の支持の背景には、全国の同学年生徒を相対評価する標準テストに対する批判を乗り越え、現場教師の裁量を尊重してその声を取り入れつつナショナル・テストが導入されたという事実があった。相対評価に替わって採用された「目標・ 知識に準拠する評価」に連動して、教育目標と評価基準を具体化し、それらに照らして各学習者の能力を評価することを大きな特徴としていたナショナル・テストは、しかしながら現在、再びその性格を変容させつつある。

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