著者
中島 園恵
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.23-31, 2013 (Released:2018-10-01)

本稿は、デンマークにおける民間被用者の出産・ 育児休暇に着目し、休暇と休暇時所得保障の関係から、デンマークにおける労働市場をめぐる公的育児支援のフレキシキュリテイを政労使の役割とともに考察した。民間被用者の出産・ 育児休暇では、労使間合意・政府による労働法の法制化と所得保障管理によって、労働市場における柔軟さと保障を同時に確保している。 労働市場において、労使は休暇と給与をめぐる問題を主体的に解決するという労使自治の役割を担い、政府は労使自治の及ばない領域も含めた労働市場全体における環境整備を法的拘束力によって図るという調整的な役割を担っている。注目すべきは、民間部門の使用者が、出産休暇補償基金を通じて、出産・育児休暇を取得する被用者の所得代替率を引き上げる役割を担っている事である。

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