- 著者
-
椿 広計
- 出版者
- 応用統計学会
- 雑誌
- 応用統計学 (ISSN:02850370)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.1-2, pp.17-30, 2015 (Released:2016-01-22)
- 参考文献数
- 12
本フォーラムは,ビジネスのアウトプットを 幾つかの入力変数で説明する入出力システムモデル,すなわち支配法則を 形成する際に必要な基本的視点を議論する.このために, 日本の財務多変量データ解析を事例として用いる.先ず, 労働生産性のような単純な比例関係に誤差が含まれる形で ビジネスの静的法則が記述されることを紹介する. 次に,その法則は適切な分類を通じて正当化されることに注意する. 更に,動的法則の記述のためには,入出力の適切な差分に対して構造を 計量するのが簡便な接近であることを示す.一方, これらの法則当てはめの残差分布は,見かけ上裾の重い分布に従う.しかし, それから外れたデータ群が原入力変数群で説明可能な場合があり, それによってハイパフォーマンスやローパフォーマンスのフロンティアを 形成するデータ群に対する要因解析がランクロジットモデルを 通じて可能となることを示す.最後に,単一方程式モデルを 連立方程式モデルに拡張することで, 利益など財務パフォーマンスに関わる指標の向上に資する ビジネスモデリングが可能となることを示す.