著者
馬場 悠男
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.259-266, 1998-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
31

現代日本人の成立に関しては,明治時代から多くの研究者によって,北方および南方からやってきた複数の起源集団による混血の可能性が示唆され,今日でも広く認められている.すなわち,東アジア全体として,更新世末期(3~1万年前)には南方系と考えられる人々が分布していたが,最近(1万年~5,000年前)は北方系と考えられる人々が急速に拡大した,という理解の上に立って,縄文人は南方系の先住集団であり,弥生人は北方系の渡来集団であって,両者の混血によって現代日本人が成立した,と解釈するものである.このような解釈をまとめたのが埴原和朗の「二重構造モデル」である.その際の,南方および北方からの移動のルートとしては,南西陸橋あるいはその付近の海路が有力であるが,北方のルートの可能性も指摘されている.少なくとも,弥生人の渡来に関しては,九州北部を中心とする地域に集中したことはまちがいない.なお,尾本恵市は,遺伝学的データから,更新世後期にすでに南方系アジア人と北方系アジア人が分化していたと考えている.そうすると,縄文人も北方系の人々に起源を持つことになる.筆者は,化石人類の頭部形態から,縄文人の起源は更新世末期に北東アジア沿岸部に住んでいた人々であると考えている.

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@kosuke07070707 来るだけなら白村江の戦いまでガンガン来てたよ。それ以降はほぼ海上鎖国やけど。 長江→台湾→沖縄→九州の南方系だってある。 ジャポニカ米の起源は長江上流説強いしね。 それにスンダランド仮説あるし。数万年に渡る民族移動やから。なかなか複雑。 https://t.co/VFsERHkrOr
アイヌの祖先は東アジア人の共通の祖先から2~4万年前に分化。当時、陸続きだった大陸から日本列島全域に展開。 大陸渡来人と交わることなく続縄文期を生き残った人たちの末裔だと思います https://t.co/mQqTGIbNRt https://t.co/Fl04w0y598 https://t.co/uQwfEJ7u12

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