著者
宇田川 真之 三船 恒裕 定池 祐季 磯打 千雅子 黄 欣悦 田中 淳
出版者
日本災害情報学会
雑誌
災害情報 (ISSN:13483609)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.21-30, 2019 (Released:2021-04-01)
参考文献数
19

災害危険時の避難行動に対して、平常時における避難行動の意図が影響するものと想定し、その規定要因として、健康予防行動や環境配慮行動の分野で用いられている計画的行動理論や修正防護行動理論など参照し、「リスク認知」「効果評価」「実行可能性」「主観的規範」「記述的規範」「コスト」の6つの認知要因を仮定した。この心理モデルを適用した既往の住民調査の因子分析の結果では「効果評価」と「実行可能性」は独立した要因として抽出されていたが、他の要因の分別が十分ではなかった。本調査では、同じ6要因の心理モデルを用いて、設問項目の改善などを行い再調査した結果、「リスク認知」「主観的規範」「記述的規範」「コスト」、および「効果評価」「実行可能性」の合併した「避難の安全性評価」の5因子が抽出され、避難意図に対しては「リスク認知」「効果評価」「主観的規範」が有意な影響を及ぼしていた。因子分析で「効果評価」と「実行可能性」が分別されなかった原因は、モデルの不適切さによるものではなく、調査地域の地理環境が反映されたためと解釈できたことから、6要因に基づく調査フレームは、他地域にも適用し得る汎用性の高い調査フレームと考えられる。こうした汎用的な心理モデルの有用性として、地域間の比較や同一地区の時間変化の数量的な把握、効果の高いと期待される防災対策への示唆が得られることを整理した。

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@Takehashi_H 私も少しだけお手伝いした避難行動意図の調査ではコストがあまり効いてこないので面白いなと感じました。防災と避難では違うのかもしれません。https://t.co/UMOBS16rGg  https://t.co/CaOkhlRopj

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