著者
樋口 亮 斎藤 秀之
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.463, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

葉緑体ゲノムは葉緑体内に局在するオルガネラゲノムの一つで、遺伝子の発現調節を介して光合成の恒常性維持(ホメオスタシス)を司る。遺伝子の発現調節メカニズムの一つにDNAメチル化によるエピジェネティック制御がある。DNAメチル化は塩基配列の変異をともなわずDNA修飾のみで遺伝子発現調節の情報を記録する機能である。モデル生物では老化とDNAメチル化の関係が報告されている。葉緑体ゲノムにおいてもDNAメチル化の現象は植物で知られており、老化と光合成機能低下の関係にDNAメチル化の関与が予想される。しかし野外環境下に生育する樹木におけるDNAメチル化の実態や樹勢の衰退との関係について明らかでない。本報告は、 葉緑体ゲノムのDNAメチル化の実態解明のために、バイサルファイト法と次世代シーケンス解析を組み合わせたバイサルファイトシーケンス解析を行い、一塩基の解像度でシトシン塩基のDNAメチル化の遺伝子地図を作成して、DNAメチル化の影響を受けやすい遺伝子を明らかにした。続いて、ブナ健全木と老化による衰退木の葉の葉緑体ゲノムを対象にDNAメチル化と遺伝子発現の関係を比較して、衰退にともなう遺伝子発現のエピジェネティクス制御を検討した。

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