著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.523-527, 1991-06-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2
被引用文献数
1

加熱前のコロッケを冷却することによる破裂の抑制効果を検討した.ポテトコロッケの温度を-20℃ (冷凍コロッケ) および5℃ (冷蔵コロッケ) まで冷却したのち, 180℃で揚げ, 冷却処理をしないで同様に調製した室温コロッケと比較し, 次の結果を得た.(1) 冷却処理は, 外皮1mmの薄衣コロッケにおいてとくに有効であった.すなわち, 室温試料では100%表層部破裂し, 可食コロッケは0%であったが, 冷蔵試料では95%が, また冷凍試料では100%が可食コロッケとなった.この理由として, 低温にすることにより外皮近傍部の温度上昇が遅れ, 揚げ加熱中に蒸気圧が高まることが抑えられた結果, 表層部破裂が抑制されたことを認めた.(2) 外皮 2mmおよび 3mmの室温試料は, 100%全体破裂し可食コロッケの割合は0%であったが, 冷蔵試料においてもそれぞれ10%および5%であり, 破裂抑制効果はほとんど認められなかった.破裂の機構は室温試料のそれと同じであった.(3) 外皮 2mmおよび 3mmの冷凍試料における可食コロッケの割合は, それぞれ55%および45%であり破裂抑制にかなり効果的であった.破裂の抑制は外皮の厚さにより異なり, 2mm衣試料は冷凍によりすべて表層部破裂になり, 3mm衣試料はすべて全体破裂であった.しかし, 3mm衣の全体破裂は室温試料と同じ機構では説明できず, 両試料ともに冷凍による異なる破裂の機構が示唆された.(4) 2mm衣の場合, 室温では100%全体破裂したが, 冷凍 (-20℃) 試料では100%表層部破裂となった.

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少々古くはあるが 大変為になる論文だった “コロッケの破裂の機構” https://t.co/4LkIrYOOF0 “同上(第2報)” https://t.co/6SfCoapZgT “コロッケの破裂におよぼす加熱前冷却の影響 同上(第3報)” https://t.co/jtne9o7mCQ “冷凍厚衣コロッケの破裂の機構” https://t.co/p9fNixj6H6 https://t.co/utfieQYY66

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