著者
西川 洋史
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.110-116, 2019 (Released:2019-12-16)
参考文献数
11
被引用文献数
1

現在,生物の代謝産物を扱った生徒実験は呼気に含まれる二酸化炭素の検出など限られているが,魚類を小ケースで飼育すると比較的高いレベルのアンモニアが蓄積することが知られる.そこで市販の簡易検査キットを用いて魚類から排出されるアンモニア量を測定した.具体的には観賞魚として人気のあるキンギョCarassius auratus auratus,ミナミメダカOryzais latipes,エンゼルフィッシュPterophyllum scalare var.,コリドラスCoridoras aeneusを250 mlの飼育水に入れ,排出されたアンモニア濃度区分を求めた.その結果,キンギョ20個体またはコリドラス6個体を10分間室温で飼育したところ,数回の実験すべてにおいてのアンモニア濃度区分が1.5 mg/L以上に達した.これをもとに授業実践ではキンギョ10~20個体をビーカーに10分間入れて,排出されたアンモニア量を測定した.この一連の過程は50分間の授業内に終わり,かつすべての生徒が優位なアンモニア上昇を確認することができた.これまで水中のアンモニア検査キットは環境の観点から使われてきたが,本実験・教育実践では生理機能の観点から扱った.この展開は,生物代謝成分を直接扱って生物の主要構成元素の理解につなげていく教育実験系が網羅されたことを意味する.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

収集済み URL リスト