- 著者
-
上村 碧
大月 友
嶋田 洋徳
- 出版者
- 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
- 雑誌
- 行動療法研究 (ISSN:09106529)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.3, pp.387-398, 2016-09-30 (Released:2019-04-27)
- 参考文献数
- 19
本研究の目的は、セルフコントロールのメカニズムを関係反応の観点から捉え直し、実験的に検討することであった。具体的には、随伴性の特定と時間の派生的関係反応の関連、および、セルフコントロールと時間や比較の刺激機能の変換の関連を検討した。33名の小学生を対象に、関係課題によって時間や比較の関係反応の能力を測定した。また、逆転課題およびWISC-IIIの絵画配列によって、随伴性の特定を測定し、遅延価値割引質問紙やS-M社会生活技能検査へ回答を求めることによって、セルフコントロールを測定した。その結果、時間の派生的関係反応が成立した者は、不成立の者に比べ絵画配列の粗点において有意に高い得点が示された。一方で、時間や比較の刺激機能の変換とセルフコントロールの間には関連性が示されなかった。本研究の結果から、セルフコントロールを関係反応の観点から理解することの有用性と限界点、および今後の展望について検討した。