- 著者
-
岡井 いくよ
近藤 厚生
- 出版者
- 公益社団法人 日本栄養士会
- 雑誌
- 日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.11, pp.591-596, 2019 (Released:2019-10-25)
- 参考文献数
- 27
神経管閉鎖障害の発生リスクは葉酸サプリメントの摂取で40~70%低減可能である。2000年に旧厚生省は妊娠を計画中の女性に葉酸サプリメント0.4mg/日の摂取を勧告したが、脊髄髄膜瘤の発生率に低下傾向を認めない。本論文の目的は管理栄養士の葉酸認知率の推移を調査し、過去2回の調査データと比較し、現状を明らかにすることである。200人の管理栄養士へ質問票を郵送し、70人(35.0%)が回答した。葉酸サプリメントが神経管閉鎖障害を予防することは75.7%が認知していた。葉酸サプリメントを推奨していたのは37.1%、栄養バランスの取れた食事を推奨していたのは87.1%であった。国民へ葉酸情報を提供することは92.9%が必要と回答し、禁煙、禁酒を推奨していたのはおのおの78.6%と75.7%であった。ハイリスク群の女性は10倍量の葉酸(4mg/日)を必要とすることを、12.9%が認知していた。管理栄養士・栄養士の葉酸効果の認知率は10年、15年前に比較して有意に上昇していた(p<0.01)。成人女性が食事から摂取する葉酸量はおおむね240µg/日であり、神経管閉鎖障害を予防するには不十分である。したがって管理栄養士・栄養士は葉酸サプリメント0.4mg/日の摂取を推奨するべきである。