著者
浦上 涼子 小島 弥生 沢宮 容子 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.263-273, 2009 (Released:2012-02-29)
参考文献数
21
被引用文献数
14 5

本研究では, 現代において男性社会にも広がっていると考えられる痩身願望の存在に注目し, 体型への損得意識を媒介に痩身願望が規定される心理的メカニズムのモデルを検討した。体型の損得意識においては, 自己肯定感のような自己の視点からみたメリット感と対人関係のように他者の視点からみたメリット感があるのではないかと仮定した。青年期男子224名を対象に質問紙調査を実施し, 体型への損得意識に影響を及ぼすと考えられる個人特性と痩身願望との関連について検討した。現在の体型よりも痩せることが魅力的だとする男子学生131名について分析した結果, 「賞賛獲得欲求」「拒否回避欲求」「身体満足度」などが痩身願望と関連のあることが示された。これらの関連を検討したところ, 痩せれば自分に自信がもてるといった「自己視点からの痩身のメリット感」が痩身願望に直接影響し, それ以外の変数はこの「自己視点のメリット感」を媒介として痩身願望に影響することが明らかにされた。痩身願望に至るルートとして, 第1に自己顕示欲求から発する痩身願望, 第2に自己不満感や不安感から発する痩身願望, 第3に自分の意識する肥満度から発するルートが見出せた。

言及状況

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「やはり『筋肉質なたくましい身体』を望んでいる男性が多く、瘦せ賞賛の社会的風潮のなかで、『筋肉質なたくましい身体』を善しとする認識が、『筋肉があり、かつ細身の身体』を善しとする認識に変化しつつあるのではないかと推察される。」https://t.co/0sEIcLaa07

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