著者
山口 裕幸
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.77-84, 2005 (Released:2006-04-29)
参考文献数
38

本稿では,公共事業の実施を巡る社会的合意形成の過程における葛藤のマネジメント方略について,全体連合の形成メカニズムを参照しながら検討を試みた。全体連合は,もともと独立した存在で互いに競争関係にある3者以上の当事者たちが,互いに譲歩したり妥協したりして,皆全員で一致して協同に合意する行為であり,より円滑な社会的合意形成方略の検討に有益な示唆をもたらすことが期待される。連合形成に関する実証研究の知見をレビューして,全体連合への動機づけを高めるには,当事者が自己利益だけでなく全体の利益までも考慮する視野の拡大が効果的であることを確認した。その一方で,当事者たちの協同への動機づけが高まり全体連合の提案頻度は高まっても,報酬分配交渉を経ることによって,実際に形成に至る頻度は減少してしまうことも確認された。これらの知見に基づき,人間は,協同を選択する際にも,より大きな自己利益を追求する動機づけを絶えず持ち続けることを認識することの重要性について議論し,インプリケーションの提示を行った。

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【実験社会心理学研究・掲載論文】山口裕幸(2006) 社会的合意形成と全体連合(grand coalition)のアナロジー:葛藤調整マネジメントに関するインプリケーション https://t.co/QCW26LBFDf
【実験社会心理学研究・掲載論文】山口裕幸(2006) 社会的合意形成と全体連合(grand coalition)のアナロジー:葛藤調整マネジメントに関するインプリケーション https://t.co/QCW26LBFDf
【実験社会心理学研究・掲載論文】山口裕幸(2006) 社会的合意形成と全体連合(grand coalition)のアナロジー:葛藤調整マネジメントに関するインプリケーション https://t.co/QCW26LSIFf

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