著者
米山 京子 池田 順子 永田 久紀
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.770-779, 1997-01-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
33
被引用文献数
2 5

1994年7月および10月に,出産後21-590日,年齢21-42歳で乳,乳製品を摂取しない者を比較的多く含む授乳婦105名を対象に,母乳中Ca濃度,1日尿中のH.P,Caのクレアチニン補正値(H.P/Cre,Ca/Cre),超音波法により測定された踵骨の骨密度および乳,乳製品摂取状況の相互の関連性を解析し,母乳中Ca濃度の維持機構について考察した。1.尿中のH.P/Creの幾何平均値(M±SD)は授乳期間が5ヵ月未満,それ以上の場合,それぞれ40.7(31-61),36.3(28-47)mg/gで,骨吸収が亢進していることが示された。2.尿中H.P/Creは乳,乳製品の摂取頻度が少ない程,牛乳摂取量が少ない程有意に高く,牛乳摂取量が1日100ml以下の場合には,尿中H.P/Creと母乳中Ca濃度間には有意の正相関が認められた。これらの結果は,Ca摂取量が少ない程骨吸収が亢進して母乳中のCaを補償することを示唆する。3.牛乳摂取量が1日100ml以下の場合,母乳中Ca濃度は骨密度と有意の正相関が見られたことから,Ca摂取量が少ない場合でも骨密度が低い場合には母乳のCaは補償されないことが示唆された。4.牛乳摂取量に関わらず,尿中Ca/Creが低い程母乳中Ca濃度が有意に高かったことから,母乳中Ca濃度の維持に腎臓でのCaの保持機構が関与することが確認された。

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