著者
佐藤 弘隆
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.273-296, 2016 (Released:2018-01-31)
参考文献数
51
被引用文献数
4

2015年,文化庁は「山・鉾・屋台行事」をユネスコ無形文化遺産に再提案することを決定した。この行事は「地域社会の安泰や災厄防除を願い,地域の人々が一体となり執り行う」点に価値が見出されており,日本各地で本登録に向けて盛り上がりをみせている。しかし,現代都市の人口変動は「山・鉾・屋台行事」をはじめとする伝統的な都市祭礼の継承を困難にしている。本稿では都市祭礼の継承のあり方を示すために,都市祭礼の運営基盤を社会・経済・場所的側面から調査する。事例とした都市祭礼は京都市都心で行われる祇園祭の山鉾行事である。山鉾33基の運営基盤の現状とその変遷が統計資料の分析やフィールドワークを通して明らかにされた。山鉾を持つ町内は同じ都心に複数あるが,それらは等質でなく,それぞれの人口や土地利用の現状に差異がみられる。そして,山鉾行事の運営基盤もそれにともない再構築され,多様化していった。都市の変容にともなう祭礼の運営基盤の再構築は,その継承につながっており,全国の都市祭礼の継承を考えるうえで重要な視点となる。

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