著者
福迫 陽子 物井 寿子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.295-307, 1984-10-25 (Released:2010-06-22)
参考文献数
54
被引用文献数
6 6

失語症の言語訓練経過を知ることを目的に, 脳血管障害性失語症患者275例 (全例右利き左脳損傷) について失語症鑑別診断検査 (老研版) の総得点を指標として検討し, 以下の知見を得た.(1) 失語症の言語訓練経過はタイプによって差異が認められた.(3) タイプ内における言語訓練経過には, 老年群と壮年群の間で差異が認められるタイプと, そうでないタイプがあった.(3) 言語訓練に伴って症状の変化が認められる期間は, 発症後18カ月以内が多かったが, タイプや年齢によって異なり, また個人差も認められた.(4) 言語訓練を中断した症例では, 中断前後で改善は認められなかった.(5) 再発作・手術例では, 再発作・手術後, 全例で失語症状は悪化し, またタイプもより重篤なタイプへ移る傾向が認められた.

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