著者
池田 俊也
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-17, 2018-05-31 (Released:2018-07-09)
参考文献数
12

ワクチンの導入にあたってはその有効性と安全性の評価が重要であることは言うまでもないが,定期接種化のように公的な財源を用いて広く導入を行う際にはその費用対効果についても合わせて考慮する必要がある.本稿では,まず諸外国における費用効果分析のワクチン政策への利用状況として,米国 ACIP と英国 JCVI の状況を紹介する.次に,わが国の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会や厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会における取り組み状況について概説する.さらに,研究手法の標準化の必要性を述べるとともに,筆者らがこのほど作成した予防接種の費用対効果の評価に関する研究ガイドラインの概要を述べる.本ガイドラインはすでに中医協で利用されている費用対効果評価の分析ガイドラインを参考に,割引率の値など可能な範囲で統一を図りつつ,生産性損失や herd effect などワクチンに特有の課題を加味することにより策定した.本ガイドラインに準拠して統一的な手法により経済評価が実施することにより,各ワクチンの定期接種化の是非や優先順位,接種対象,接種方法などに関して,財政影響や社会的見地からの価値を踏まえたうえでの科学的議論を行うことが可能となる.

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