著者
孫 大輔
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
pp.2022-006, (Released:2022-04-12)
参考文献数
25

医療におけるプロフェッショナリズムの主要な要素として,卓越性,人間性,説明責任,利他主義があるが,共感(empathy)は人間性に含まれる重要な要素である.医療者の共感の代表的な定義に「患者の内的経験および視点を理解し,患者にその理解を伝える能力を伴う認知的属性」というものがある.医学教育によっていかに学習者の共感を涵養できるかは大きな課題である.患者が語る病いの物語(ナラティブ)を医療に応用する能力,すなわち「ナラティブ・コンピテンス(物語能力)」が共感教育の鍵となる.患者ナラティブの活用手法として,患者の語りデータベース「ディペックス(DIPEx)」があり,インターネットで視聴できる.また,当事者に体験を語ってもらう「患者講師(patient storyteller)」の養成も重要である.ディペックス動画や患者講師を授業に活用した事例では,学生が患者の苦悩や心理の理解に迫っており,共感の涵養につながる可能性が示唆された.

言及状況

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>正解を求めがちな理系頭の学生たちに,決して唯一の正解のない「問い」を投げかけ,深く考えさせることが,共感や人間性の教育においては重要ではないかと考えている。 J-STAGE Articles - 患者の語りを用いたプロフェッショナリズム教育:ナラティブと共感 https://t.co/dtgsChh4Mu

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