著者
孫 大輔 南学 正臣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.929-933, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

BUN(血中尿素窒素)やクレアチニンは腎機能を推定するのに便利な指標であるが正確なものではない.特にBUNは脱水や心不全など腎血流が低下した状態では尿細管内での再吸収が亢進するため高値となる.一方,血清クレアチニンは,筋肉量にほぼ比例するため大きく変動することはなく,腎機能の指標として適している.しかし高齢女性,四肢切断者,筋萎縮者で低値となるので注意が必要である.
著者
孫 大輔 密山 要用 守本 陽一
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.136-139, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
5
被引用文献数
1

地域志向性ケアの一つのあり方として「モバイル屋台de健康カフェ」プロジェクトを紹介する.家庭医・医学生である筆者らは,東京の「谷根千」地域と,兵庫県豊岡市でモバイル屋台による健康生成的なダイアローグを実践した.モバイル屋台は健康無関心層へのアプローチや多世代がつながる場として,「小規模多機能」な機能を発揮する可能性がある.
著者
孫 大輔 塚原 美穂子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.129-132, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
6

オープンダイアローグは,「社交ネットワークの視点」や「不確実性への耐性」といった7つの原則に基づき,「ポリフォニー(多声性)」の状態を目指す対話的アプローチである.この手法は,フィンランドで精神疾患に対するアプローチとして始まったが,今後プライマリ・ケア領域でも大きな可能性を持つと考えられる.特に複雑性・不確実性の高いケースに対して有効性が期待される.
著者
孫 大輔
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.89-94, 2022-02-25 (Released:2022-06-19)
参考文献数
8

映画とは, 文学や音楽, 絵画, 演劇と並ぶ芸術的営為の一つである. 映画を芸術の一つとして捉えるならば, 映画は社会の新しい見方を提示するだけでなく, 共通の経験の感覚を新しく創造し直す手段として捉えることができる. 映画を医学教育に活かす手法であるシネメデュケーション (cinemeducation) は, 人間形成機能, すなわち批判的思考や主体性形成を促す作用を持つと同時に, プロフェッショナリズムの涵養にも役立つ. 例えば, 利他主義, エンパシー (共感), 倫理的推論能力などの教育である. シネメデュケーションの具体的方法として, 映画全体または映画のクリップを使用して, 小グループの議論を促進する. 教育目標に合わせた「問い」を学習者に投げかける. また, ロールプレイやレクチャー, 診療・治療計画について考えさせるといった内容を組み合わせる. シネメデュケーションの課題として, どのような映画を選ぶか, 映画全体を見せるか一部を見せるか, どの部分を選ぶかといった教材選択の問題とともに, 学習者のレディネスや学習進度に合わせた授業内容を設計できるかという授業デザインの問題がある.
著者
孫 大輔
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
pp.2022-006, (Released:2022-04-12)
参考文献数
25

医療におけるプロフェッショナリズムの主要な要素として,卓越性,人間性,説明責任,利他主義があるが,共感(empathy)は人間性に含まれる重要な要素である.医療者の共感の代表的な定義に「患者の内的経験および視点を理解し,患者にその理解を伝える能力を伴う認知的属性」というものがある.医学教育によっていかに学習者の共感を涵養できるかは大きな課題である.患者が語る病いの物語(ナラティブ)を医療に応用する能力,すなわち「ナラティブ・コンピテンス(物語能力)」が共感教育の鍵となる.患者ナラティブの活用手法として,患者の語りデータベース「ディペックス(DIPEx)」があり,インターネットで視聴できる.また,当事者に体験を語ってもらう「患者講師(patient storyteller)」の養成も重要である.ディペックス動画や患者講師を授業に活用した事例では,学生が患者の苦悩や心理の理解に迫っており,共感の涵養につながる可能性が示唆された.
著者
伊藤 泰信 谷口 晋一 孫 大輔 大谷 かがり
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は、医学教育者/医師らと“共働”する医学教育実践の中で、サービスデザインの視点を取り込んだ文化人類学を構想するものである。ここでいうサービスデザインの視点とは、患者がなし遂げたいコト(サービス)起点で医療提供を考える視点である。具体的には、生活者としての患者の視点を重視する人類学的素養を導入した総合研修専門医の教育(研修)プログラムを医学教育者と共にデザインする。他方で、そうした教育実践を通じて、「サービスデザイン人類学」という新たな領域を切り拓こうとする試みである。
著者
榊原 哲也 西村 ユミ 守田 美奈子 山本 則子 村上 靖彦 野間 俊一 孫 大輔 和田 渡 福田 俊子 西村 高宏 近田 真美子 小林 道太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、これまで主として看護研究や看護実践の領域において注目されてきた、看護の営みについての現象学的研究(「ケアの現象学」)の、その考察対象を、医師による治療も含めた「医療」活動にまで拡げることによって、「ケアの現象学」を「医療現象学」として新たに構築することを目的とするものであった。医療に関わる看護師、ソーシャルワーカー、患者、家族の経験とともに、とりわけ地域医療に従事する医師の経験の成り立ちのいくつかの側面を現象学的に明らかにすることができ、地域医療に関わる各々の当事者の視点を、できる限り患者と家族の生活世界的視点に向けて繋ぎ合せ総合する素地が形成された。
著者
田中 武志 山口 浩一 井上 和興 孫 大輔 孝田 雅彦 谷口 晋一
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.102-105, 2022-09-20 (Released:2022-09-23)
参考文献数
4
被引用文献数
1

鳥取県日野郡の医療福祉従事者の意見を反映し,画像情報を中心とした情報共有アプリケーション「パッと見えNet」を開発した.以前構築したトップダウン型のシステムに比べて,文字情報を省略・簡略化する事で作業負担が減少し,利用機関数,システム利用者数,登録件数などが増加した.そして,医療福祉従事者間で双方向性の情報共有が活発となった.
著者
森 玲奈 孫 大輔 渡辺 雄貴 北村 智 堀 里子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S44038, (Released:2020-11-09)
参考文献数
11

本研究では高齢者の学習課題の中で健康に関する学習に焦点を当て,自己調整学習理論を参照し,主体的に健康について学ぶことができるワークショップを設計・実践・評価することを目的とする.ワークショップ「すまけん」は,参加者に健康情報の取得へのネットの活用可能性の理解と利用の自己効力感の向上を促すものである.その結果,事前に比べて事後のヘルスリテラシーの自己効力感並びにスマートフォン活用の自己効力感が高まっていた.またワークシートの記述内容の分析から,すまけんワークショップ内では,殆どの参加者が健康情報の探索を学んだことが示された.
著者
孫 大輔 密山 要用 守本 陽一
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.136-139, 2018

<p>地域志向性ケアの一つのあり方として「モバイル屋台de健康カフェ」プロジェクトを紹介する.家庭医・医学生である筆者らは,東京の「谷根千」地域と,兵庫県豊岡市でモバイル屋台による健康生成的なダイアローグを実践した.モバイル屋台は健康無関心層へのアプローチや多世代がつながる場として,「小規模多機能」な機能を発揮する可能性がある.</p>
著者
中島 美津子 孫 大輔 川村 和美 内海 美保
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.1, pp.117-121, 2015-01-01 (Released:2015-01-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

The concept of interprofessional work (IPW) is becoming increasingly important recently and the role of nurses in IPW seems critical. In Japan, the problem of burnout and turnover of nurses has been recognized, and the solution seems embedded in the scheme of IPW, because it appears to improve their job satisfaction and recognition as health professionals. However, many obstacles lie ahead, such as “tribal conflict” between health professionals including between pharmacists and nurses. Although failure to understand the roles of other professionals or competencies may seem to hamper with the promotion of collaboration, we must realize that even a lack of understanding among nurses exists. The authors believe that the solution is to understand and respect not only other professionals but also colleagues of the same profession.