- 著者
-
村上 佳津美
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.1, pp.27-38, 2017 (Released:2017-01-01)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
-
2
注意欠如・多動症 (attention deficit hyperactivity disorder : ADHD) は, 多動性, 衝動性, 不注意の3主徴とする疾患である. 診断はDSM-5に基づき, 前述の3主徴の項目で行われる. しかし, 3主徴とも年代により症状が大きく異なるため, 診断においては年代の考慮も必要である. 鑑別診断においては特に自閉症スペクトラム症との鑑別が重要で, 困難である. 治療, 支援においては環境調整, 親への心理社会的治療, 子どもへの心理社会的治療, 学校などの関連専門機関との連携という4領域を組み合わせた心理社会的治療が優先され, 必要に応じて薬物療法を行う. 薬物はメチルフェニデート徐放剤, atomoxetineを使用するが, 適応は慎重に行う.