著者
中村 和弘
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.203-209, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
22

心理ストレスは脳の交感神経調節系に作用してさまざまな生理反応を生じさせる. 体温の上昇は顕著な生理反応の1つであり, 強い心理ストレスが心因性発熱と呼ばれる高体温症状を引き起こすこともある. こうしたストレス反応は基本的な生理反応だが, その中枢神経機序は研究途上である. ストレス性体温上昇とよく似た体温上昇である感染性発熱の神経回路機序と比較すると, どちらも視床下部背内側部から吻側延髄縫線核を介した交感神経駆動経路を通じて褐色脂肪熱産生が亢進することで生じる. しかし, 視床下部背内側部を興奮させる仕組みがストレス性体温上昇と感染性発熱とでは異なる. 感染性発熱は, 視索前野でのプロスタグランジンE2作用を介した神経伝達変化が視床下部背内側部を興奮させることで惹起される一方, ストレス性体温上昇は, 皮質辺縁系から視床下部背内側部へのストレス信号入力によって視床下部背内側部ニューロンが興奮することで惹起される.

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@MOFUMI_H ヒトの身体の仕組みであり、個人によって程度の差があるだけだろぐらいに思ってたんですが、深堀りすると結構面白いみたいです (中村, 2020) (時間があったら読んでみてください) https://t.co/OeQnivsy9h https://t.co/BGi0I61AGY
@Ohr_wurm @mQDaJvmH5I7QJwc https://t.co/6OPO8INNm5
@ERxICU_yakkun 例えば鼻呼吸が脳内の温度を下げる点で有意差が小さかったとしても「顔が熱い」ことへのストレスにより体温が上昇するなど、様々な可能性を考えるべきです。   追及すべきは「なぜエビデンスがないのに苦しいか」ではなく「苦しくなる理由は何か」ではないでしょうか。 https://t.co/LaJOUPaiqo
@lunaflow_l ある。大人でも生命に関わる事態だといつでも動けるようにウォームアップするよ。 https://t.co/gntZqDPEuF
@nkasb22 自律神経系が反応しているかも https://t.co/nkXCkp05WE

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